阿部幸洋新作展がきのう(10月16日)、いわき市泉ヶ丘のギャラリー「磐城」で始まった=
写真。24日まで。いわき生まれ、スペイン在住の画家で、いわきでは今年2回目の個展となる。
風景、静物、花のほかに、新しく人物(裸体画)が加わった。花たちの一点、白い花は上方から差し込む光を浴びて神々しい。まさに神々しいというしかいいようがない。瞬時に「祈り」という言葉が浮かんだくらいだ。横たわる裸の女性も月光のような静けさをたたえる。
風景にも変化が見られる。建物の先、はるか向こうに集落が見える、丘へと続く道もある。家々が接するほどに狭い路地の上空には宵の明星がきらめく。雨上がりの午後の空でもあろうか、雲の切れ間に青空が広がる。「緑の青磁」と「青の青磁」に分ければ、当然、「緑の青磁」の色だ。湿り気を帯びたきれいな空気を感じた。
建物、道、街灯、木々――風景を構成するものたちはこれまでと変わらないものの、まなざしはより遠くへ向かっている。精神性がより増してきた、というべきか。
珍しいタイトルの作品があった。「秋の月」。建物を主とした風景で、どこにも月の姿はない。もしかしたら画面の外に月があって、その光が建物の壁に差し込んでいるのか。あるいは、屋根に接する外気が白っぽいのは、今にもそこから月が現れようとしているためか。
にしても、解せない。本人に確かめると、月は描いていないという。額装段階で「日」が「月」に化けてしまったらしい。画廊主がタイトルを「秋の日」に替えた。
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