2014年12月16日火曜日

ヒイラギの花

 いわき市小川町の知人の家を訪ねたら、庭にヒイラギがあって白く小さな花を咲かせていた=写真。葉っぱのへりは――と見ると、トゲが一対あるほかはつるりとしている。ギザギザがヒイラギの葉のイメージだが、それは若木のとき。ヒイラギも人間と同じで、老いれば葉のギザギザがとれて丸くなる。その途中にある木なのだろう。

 同じ樹種でも、若木と成木では外観が異なる。たとえば、クヌギ。23年前、東京・砧公園内の世田谷区立美術館を訪ねたときに出合った巨木が忘れられない。そのとき、活字にした文章の要約。
 
 ――里山のクヌギは10年くらいのサイクルで薪炭に利用されてきた。だから、生長して老いたクヌギを見ることはなかった。かつての武蔵野で、その巨木を見た。すっくと立った太い幹が途中から枝分かれし、それがまた無数の小枝を張っている。全体としてはお椀を伏せたように丸みを帯びている。

 クヌギの樹皮は不規則に深く縦に割れる。ところが、その巨木には深い縦割れがなかった。クヌギとわかったのは、根元に標識があったからで、それがなければ「不思議な木」のままで終わっていた――。

 木の名前をなかなか覚えられないのは、こうして老・壮・若木で姿が違っていることが多いからだ。若いときには天に突き刺さるようにとがっている杉も、年輪を重ねるとてっぺんが丸くなる。杉はまあ、なんとかわかるが。

人間は老いて丸くなるとはいっても、事と次第でとげが復活する。今度の総選挙では、とがった“老少年”がいっぱいいたのではないか。

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