いわき駅前のラトブ5階、いわき総合図書館地域資料展示コーナーできのう(12月5日)、「東日本大震災浜通りの記録と記憶
写真アーカイブ展」が始まった=写真(チラシ)。来年(2015年)5月末までほぼ半年間の長期展示だ。
いわき明星大復興事業センターが同図書館と共催した。同センターには「震災アーカイブ室」がある。震災後の浜通り各地の写真や資料を“未来へ伝える震災アーカイブ「はまどおりのきおく」”として収集している。(チラシから)
おととい紹介した関東都市学会に所属する若い女性が、いわき明星大客員研究員として「はまどおりのきおく」の聞き取り調査や資料収集を続けている。その彼女がきのうの開幕後、チラシをもってわが家へやって来た。午後から街へ行く用事があったので、図書館へも足を運んだ。
いわき市をはじめ相双地区の震災写真から、当時の記憶を呼び覚まされた。ガラスケースに入った「モノ」からさらに多くのことを喚起された。大津波が押し寄せた時間(3時30分ごろ)を伝える豊間中の掛け時計、津波をかぶって水ぶくれしたコピー用紙の包み、ガレキの中から見つかったアルバム、FMいわきの震災直後の読み上げ原稿……。モノの背後に広がる情景がよみがえってきて、一瞬、体がこわばった。
震災から間もなく3年9カ月。いわきをハマ・マチ・ヤマで区分すれば、津波に襲われたハマの人間でもなく、1カ月後の巨大余震に傷めつけられたヤマの人間でもない、マチの人間としては早くも記憶の細部が溶けかかっている。また、そうでないと人間は前には進めない。
が、ときにはこうして立ち止まり、写真を、モノを直視することで、自分の来し方行く末に思いをめぐらすことが必要なのではないか。
たとえば、あのとき自分の中にも芽生えた「賢治的精神」はどこへ行ったか。忘れていいものと忘れてならないものがあるが、忘れてならないものまで忘れていないか――観念ではなく、個別・具体を通して、あのとき・今・これからを考えずにはいられなかった。
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