中世アイルランドの音楽を現代によみがえらせる――。そんな考えのもとに結成されたアイルランドの男女混声合唱団「アヌーナ」のコンサートが日曜日(11月30日)、いわき市のアリオスで開かれた=写真(チラシ)。
20年近く前、エンヤを聴いてとりこになってから、アイルランドに興味を持っていろんな本を読んできた。エンヤ以外の歌もわりと聞いてきた。それで知ったのが、シンニード・オコナー。「ソング・フォー・アイルランド」のメアリー・ブラック。そして、ケルティック・ウーマン。「アヌーナ」はエンヤと同時期のデビューらしいが、知らなかった。
のびやかで澄んだ歌声を「ピュア・ボイス」、あるいは「クリスタル・ボイス」というそうだ。エンヤが、メアリー・ブラックが、ケルティック・ウーマンがそうだ。アヌーナも「ピュア・ボイス」だった。
アリオスの中劇場が会場だが、ちょっと大きなキリスト教会で賛美歌を聴いているような、そんな印象を受けた。ステージだけでなく、客席の通路を使ってピュア・ボイスを響かせる。時には高みから歌声が響くような演出もあった。教会で聴いているような――という印象はそこからきている。カミサンもコンサートが終わったあとに同じことを言っていた。
アヌーナといわきの関係は震災後に生まれた。2011年12月、小名浜一小で東北復興応援コンサートが行われた。それから3年後の今年10月、アヌーナのリーダーほか1人が同小、小名浜一中でワークショップを実施した。
アリオスでは、初めに「ウエルカムパフォーマンス」と銘打って、小名浜一小6年生がアイルランド伝統曲の「サリーガーデンズ」(映画「タイタニック」にも使われた)を歌い、3年前に学校にプレゼントされたアイルランドの楽器ティン・ホイッスルで演奏した。自分たちで作詞した日本語で歌い、手話も披露した。
中学校は、合唱部の女の子が「ダニーボーイ」を歌った。「ダニーボーイ」もアイルランドの伝統曲(「ロンドンデリーの歌」)だ。この歌を下敷きにして、世界的なヒット曲「ユー・レイズ・ミー・アップ」ができた。ケルティック・ウーマンが歌っていて、歌詞はこれこれで……なんてやると長くなる。
声は天から降ってきた。人は地からわいてきた。そのくらい、知人と顔を合わせ、席を近くした。示しあわせたわけではないのに、カミサンの一つ隣の席にカミサンの同級生が座り、その後ろのすぐ近くに私の知り合いが陣取った。開場前に出会った知り合いに「アイルランド音楽が好きなの?」と聞くと、「いやあ、中学生の娘が出るので」ということだった。
伝統曲のなかでは「ダニーボーイ」のほかに、「シューリ・ルゥ(愛する人よ、お行きなさい)」が耳になじんでいた。ケルト音楽の海にまた漂いたくなった。
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