震災後に知り合った双葉町出身の若い女性が家に遊びに来た。おみやげの揚げ菓子の名前がふるっている。「かりんとう饅頭
夏井川でひろった小石」だって=写真。
いわき市平下平窪に、原発震災で全町避難を余儀なくされた双葉町から移転・オープンした「ふたば茶亭」がある。そこから買ってきたという。一日に1回は夏井川を見ることにしている人間には、うれしい夏井川関連商品だ。
彼女は一時、首都圏へ避難したあと、いわきにアパートを見つけた。東京に本部のあるNGOシャプラニールが初めて国内支援に入り、いわきに交流スペース「ぶらっと」を開設した。そのスタッフとして働き、結婚をし、出産を控えてこの秋に退職した。今は「ふたば茶亭」の近くに住む。
揚げ菓子は、昔ながらの「小麦まんじゅう」を、かりんとう風に揚げた食べ物といったらいいか。一口食べたら、懐かしい味と新しい味が舌の上で混ざり合った。
「ふたば茶亭」は、正式には「まがら洋菓子研究所(有)ふたば茶亭いわき平窪店」というらしい。「まがら」に記憶があった。フェイスブックの友達の友達としてたびたび目にする人ではないか――確かめたらそうだった。
10年ほど前、かかりつけの診療所(内郷)の隣に双葉の人が洋菓子店を開いたと、ドクター夫人に聞いたことがある。「ふたば茶亭」はその姉妹店だ。すでに震災前から内郷、小名浜といわきで2店舗を展開し、震災後、双葉町の「ふたば茶亭本店」を平に移した、ということなのだろう。
経営者の文章に触れて納得したことがある。いわきは全国でも有数の広域都市だ。そのため、売れ筋商品は内郷・小名浜・平で異なる。「夏井川でひろった小石」は、ネーミングからして平限定商品だろう。彼岸を中心によく売れたそうだ。
私には初めての揚げ菓子だが、彼女は若い世代らしく“小石まんじゅう”と縮めて呼ぶ。もうすっかり「いわきの味」になっているらしい。
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