2015年9月1日火曜日

「昭和の子ども」

 カブトムシ=写真(メス)=を見ると、ふるさとの「カブトムシ自然王国ムシムシランド」(田村市常葉町)を思い出す。殿上山(810メートル)の山頂斜面にある観光牧場だ。生きたカブトムシに出合える自然観察園と、世界の昆虫標本を展示しているカブト屋敷が、向かい合う鎌倉岳(967メートル)のふもとにある。 
 夏休みに入る直前、孫たちが親に連れられて出かけたらしい。実家の兄から連絡があった。「家(ウチ)に寄っていった」。前にも観察園に出かけている。ただの観光スポットではない。孫とカブトムシを介してふるさとの話ができるのは、ひそかな喜びだ。
 
 91歳の国府田英二さん(いわき市小川町)が、戦後70年の節目を記念して、8月15日付で冊子『昭和の子ども』(非売)を出した。自分の誕生から始まって、幼少時・小学校・旧制中学校・助教・海軍・敗戦・復員・結婚までをつづっている。楽しく読み終えた。よく調べて書いているので、資料的価値も高い。
 
 国府田さんのその後の人生に大きな影響を与えた1人に、小学校の担任がいる。「万崎先生」といった。先生などの勧めがあって、国府田さんは中学校へ進むことができた。「万崎先生」の父親はわがふるさとの出身だった。炭鉱で働くためにいわきへやってきた。先生は若くして亡くなり、常葉の墓に骨が埋葬された(今は平の墓に納まる)。

 本を読み終えてお礼のはがきを書いた。いわき駅前のラトブで集まりがあったので、それに合わせて1階外にあるポストに投函した。すると――その国府田さんが知り合いとラトブから現れた。「あれっ、今、このポストにお礼のはがきを入れたばっかり」。出会うのが数秒早ければ、直接渡したのに。

 後日、手紙が届いた。「万崎先生」には子どもがいなかった。父の兄の子が、私のかつての職場であるいわき民報に勤めていた(大先輩に万崎さんがいた)。その子どもがある病院の事務局に勤めているので、本を届けようと出かけたら、すでに退職していた、住所はプライバシーにかかわることなので教えられない、といわれた――ついては、とあった。

 すぐ会社の後輩に連絡し、「万崎先生」の係累に当たる大先輩の子どもさんに本が届くよう頼んだ。あの大先輩の父親が、今はカブトムシで売っている常葉町出身だったことを、「昭和の子ども」をきっかけにして知るとは――。

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