この夏、気になりながらも確かめるまでにはいかなかったことがひとつ。野鳥に興味を持つ知り合いの若い女性から、フェイスブックを介してメッセージが届いた。7月中旬のことだ。
「おじちゃんに聞きたいことがあってね! 最近近くの公園から夜になるとホッホーホッホーて鳴くやつがいるんだよ……フクロウみたいのを想像しているんだけど……いったい何者ぞ?」。すぐ「アオバズクだよ。すごい、もう30年以上聞いてない」と返す。
彼女は昔からの友人(女性)の娘で、平の街なかのコーポ(共同住宅)に夫と生まれて少したつ愛娘と3人で住む。建物の前に、帯状の新川緑地公園がある。ケヤキの高木が点々と葉を茂らせている。その木の1本にアオバズクが飛来し、夜の10時ごろから「ホッホー、ホッホー」とやる。
アオバズクは夏鳥だ。平の平窪から神谷へ移り住んだ昭和50年代前半、つまり35年ほど前は、深夜、北の鎮守の森の方から「ホッホー、ホッホー」が聞こえた。日中は、その対極、南の夏井川の方から「カッコー、カッコー」の朗らかな声。今はアオバズクの声もカッコウの声も、わが生活エリアでは聞かれない。
現役のころ、職場に届く日本野鳥の会いわき支部の会報「かもめ」を愛読した。ある号に、平の街なかに飛来したアオバズクの写真が載った。撮影者は13歳のジュニア会員だった。驚き、うなった。後年、高校を卒業したあと、京都の大学に進学するという彼と実際に会い、いろいろ話をした。今は京都に住み、母校の講師もする写真家として生活している。むろん、野鳥の写真も撮る。
彼ともフェイスブックでつながっているので、一昔前のアオバズク撮影のことを聞いてみた。場所は平の街なかの県社(子鍬倉神社)、撮影したときはやはり13歳だった。
京都の家の裏山、といっても銀閣寺の北側の山だが、そこでアオバズクが鳴いている。平では、お城山の磐城桜が丘高校の裏手で鳴いている――ともあった。
アオバズクは、平ではかえって街なかにいる。新川緑地公園は、前は掘割だった。それを埋め立てて緑地化した。植樹されたケヤキなどが時間の蓄積のなかで高木に成長した。えさになる昆虫類、小鳥なども増えた、ということなのだろう。
まずは現地調査だと、昼間、コーポの前のケヤキとイチョウを見に行った=写真。しかし、宵になると晩酌の誘惑に負けてしまう。とうとう深夜の「バードヒアリング」には行きそこなった。でも、久しぶりに若い人たちのおかげで、ネットでアオバズクの鳴き声を聞いた。それだけでもよしとしよう。
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