2015年9月9日水曜日

阿武隈のクマ

 フェイスブックに田村市復興応援隊が「注意!熊出没!」の記事を投稿していた。「9月4日に都路町内で熊の目撃情報がありました。発見された場所は岩井沢字楢梨子(ならなし)地区です。足跡も確認されており存在は間違いないようです」
 岩井沢小・中学校のホームページから、次のようなことが見えてきた。同日午前6時10分ごろ、国道288号の新田バス停付近に体長1メートルほどの子熊が現れた。足跡もあった。近くに親熊がいるかもしれない――。

 いわき市のわが家と田村市常葉町の実家を往復するときに、行きか帰りのどちらかに同国道を利用する。途中、同市都路町岩井沢地内で葛尾村方面へ国道399号が分岐する=写真(2014年9月)。その交差点から東の太平洋側へ1.5キロほど寄ったところに新田バス停がある。国道沿いに田畑と民家が点在する。交差点から西側には岩井沢の集落。その一角に岩井沢小学校がある。

 今は、沿線の田んぼでは水稲が栽培されている。震災に伴う原発事故がおきた2011年春には、20キロ圏外だったが稲作が中止になった。その年6月、放射線量を測りながら実家へ帰った折、新田バス停付近でノウサギが道路を横断するのを目撃した。人の気配が消えたため、臆病なノウサギが日中、堂々と国道に現れたのだ。

 2012年7月31日、田村郡に接するいわき市川前町上桶売字大平地区でツキノワグマの足跡が確認された。夏井川渓谷のわが隠居からは、車で20分ほど山中に分け入ったあたりだ。隠居に回覧チラシ「クマにご注意」が差し込まれていて、クマの出没場所が近いことを実感した。

 阿武隈高地は、南北に福島県を縦断する。同高地にはツキノワグマは生息していないといわれてきた。が、相双地区を中心にずいぶん前から目撃情報が相次ぐようになった。田村市の北方、飯舘村には「熊出没注意」の看板もあるという。いったい何頭生息しているのだろう。
 
 原発事故以来、場所によっては山里から人の姿が消え、山離れ現象も手伝って、自然への人間の圧力がだいぶ薄れた。その分、イノシシが爆発的に増えている。それと同じで、クマも阿武隈に入り込みやすくなっている、ということか。

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