2015年9月30日水曜日

ネパール女性とフェアトレード

「シャプラニール=市民による海外協力の会」がきのう(9月29日)、いわき市生涯学習プラザで全国キャラバン「フェアトレードが変えるネパールの女性たちの暮らし」を開いた=写真(地機=じばた=織りの実演)。
 9月20日に熊本市からスタートし、中津市(大分)、福岡市、札幌市を巡っていわき市へ。そして、きょうは福島市。さらに石巻市、仙台市、江東区、新潟市、浜松市、名古屋市、豊島区を経て、10月12日、逗子市(神奈川)で終わる。東日本大震災復興と原発事故収束作業の拠点になっているいわきでは、「ネパール大地震緊急報告」を兼ねた。

 ネパールの女性起業家ラム・カリ・カドカさん(60)が、自身で立ち上げたフェアトレード団体WSDOの活動や商品開発、生産者であるネパール人女性を取り巻く状況、そして大地震の現状を話した。WSDOはネパールにおけるシャプラのパートナー団体のひとつだ。

 シャプラは3・11後、いわきへ緊急支援に入り、2011年10月からは交流スペース「ぶらっと」を開設・運営している。フェアトレードの報告会には25人ほどが参加した。大半は「ぶらっと」を利用している原発避難者や一般市民とその知り合いなどだった。
 
 4月にネパール大地震が発生し、シャプラがすぐさま緊急支援活動に入った。シャプラと縁のできたいわき市民を中心に、寄金が相次いだ。今も「ぶらっと」などに浄財が寄せられている。ネパール大地震は人ごとではない、シャプラの本来の活動も知りたい――報告会にはそんな思いの人が多かったようだ。

 ネパールは、昔の日本のように男尊女卑の根強い国。ラム・カリさんはそんな風習のなかで、女性が手に職を持つことの重要性を強調した。働いて得た収入を子どもの教育費に充てられる、祭りや病気にも備えることができる。働ける場所をつくることで女性の自立と自信につながる。むらのなかにそういう“ブランチ(支店)”をつくることが課題だと述べた。

 WSDOで生産される手工芸品の8割は日本など海外で販売される。ネパール国内で販売されるのは残りの2割だが、大地震以来、国内の売り上げが落ちた。
 
 労働の正当な対価としての「モノを買う」ことが、生産者の地位向上と尊厳を守ることにつながる――フェアトレードはそういうものだとしたら、まだまだできることがある。消費の一部をそれに振り向けるだけでもいい。ネパールに限らないが、「モノを買う」ことでできる「市民貿易」、それがフェアトレードだということだろう。現場の声を聴いてそんなことをあらためて思った。

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