2018年5月17日木曜日

「ぶな石」と星空

 カミサンが図書館にでも置いてあったいわき市の観光パンフレット「ぱわふるいわき」を持ち帰った。「イベント」「食」「癒し」「パワースポット」のワッペンがついたものもある。「パワースポット」のワッペンは、もしかして今回が初めて?
 1枚の写真に引かれた。三和町差塩(さいそ)の「ぶな石」。夏の夜、この巨岩と、その上に広がる星空が見事な“光度”で表現されている=写真。同時に、キャプションが「宇宙石」ではなく「ぶな石」であることにも引かれた。メディアは「宇宙石」、あるいは「宇宙岩」という名で紹介する。観光パンフには、いや、そうじゃない、地元の人は「ぶな石」と呼んでいる――そんな意思がこめられているように思えた。
 
 私は、いわき市内のあちこちを歩き回っている方だが、この観光パンフに載っている自然スポットでは、「ぶな石」「中釜戸のシダレモミジ」「田人のクマガイソイウ」は、まだ見ていない。だからなのか、「ぶな石」と星空の写真には、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のイメージが重なって、ますます心が躍った。
 
 ついでながら――。「ぶな石」の前のページで「背戸峨廊」を紹介している。これには「セドガロ」の読みが付けられている。「宇宙石」ではなく「ぶな石」ですよ、というのと同じで、「セトガロウ」ではなく「セドガロ」ですよ、というメッセージでもある。

「いわき市三和町 ぶな石」で検索すると、FMいわきの2012年秋の<「みみたす」こぼればなし>に出合った。かつての広報誌「みみたす」に載った中山間地ルポの延長で、ネットに発信したものだろう。行きあたりばったりなのに、人に出会って地域のディープな世界に触れていく。かつてのルポ記事のような文章をまた読みたくなった。

「こぼればなし」のなかに、ちょうど確かめたかった昔話「白蛇のたたり」が出てくる。永井小・中学校PTA編/夏井芳徳校注『永井の昔ばなし――ふるさとの民話と伝承』(いわき新書、2009年)にからんで、地元の人にじかに昔話を聞く。なぜゴマを栽培しなくなったか、そのいわれを紹介したものだ。つまりは、ゴマではなくエゴマ(ジュウネン)を栽培するようになったいわれでもある。

「ぶな石」の話に戻る。パンフの説明にこうあった。「差塩地区にある、標高670メートルほどの山『一本山毛欅(イッポンブナ)』。その頂上に鎮座するのが、巨岩『ぶな石』です。その神秘的な雰囲気から、今ではパワースポットとして親しまれています。周辺は牧草地となっているので、立ち入る際は牧草を傷めないよう配慮し、マナーを守って鑑賞してください」

 パワースポットかどうかはともかく、一本山毛欅の頂上にある巨岩だから「ぶな石」だった。

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