2018年5月9日水曜日

夏鳥飛来

 大型連休中の5月4日夕方――。街からの帰りに夏井川の堤防を通ると、ヨシ原から聞こえてきた。「ギョギョギシ、ギョギョシ――」。夏鳥のオオヨシキリが渡って来たのだ。点々と数羽がいた。
 ヨシ原といっても、新しいヨシは生えたばかり。去年の枯れヨシがあらかた残っている=写真上。例年だと2月の早い段階で土手と河原に火が入れられる。今年(2018年)は1月28日の日曜日に野焼きが行われた。

 ところが、上流と下流の間の中神谷地区だけ野焼きが「自粛」になった。枯れヨシが燃えると、煙が立ちのぼって燃えかすが飛散する。以前、対岸だったか下流側だったか、住民から洗濯物を干せないという苦情が寄せられた話を聞いたような……。同じ理由で自粛になったのだろうか。

 枯れヨシと新しいヨシが混在する河原で、オオヨシキリはどう巣をかけるのか。影響があるのかないのか、気になるところだ。

 夏鳥は山にも渡って来る。夏井川渓谷に住む友人のフェイスブックであえなく絶命した夏鳥のキビタキ(雄)の写真を見た。渓谷にも渡って来ることを、そんなかたちで知るとは――。

 連休最後の日の6日、渓谷にある隠居で土いじりをしていたら、対岸の山=写真下=からかすかに「ポポッ、ポポッ」というツツドリの鳴き声が聞こえた。これも夏鳥だ。
 日本へ渡って来るカッコウの仲間は4種。鳴き声を聞く限りでは、ツツドリ・ジュウイチ・カッコウ・ホトトギスの順に到着する。カッコウは、わが生活圏ではもう幻の鳥になった。
 
 ホトトギスは山にも平地にも現れる。夜も鳴く。幼いとき、その鳴き声を聞きながら、祖母が寝物語に怖い話を語ってきかせた。

 昔、きょうだいがいて、食べもののことで口論になった。食べていないのに「食べたべ」と弟から邪推された兄が、身の潔白のために腹を裂いて死んだ。弟は自分の誤りを悔い、悲しみ、ホトトギスになって「ポットオッツァケタ」=ポッと(腹が)おっつぁけた=と鳴き続けているのだという。

 以来、私のホトトギスの聞きなしは「ポットオッツァケタ」であって、「トッキョキョカキョク」や「テッペンカケタカ」ではない。実際、そう聞こえるのだからしかたがない。

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