2018年5月8日火曜日

田村市常葉町の三角油揚げ

 大型連休の谷間(5月2日)に、田村市常葉町の実家(床屋)へ帰って散髪した。ワカメとメヒカリを土産に持って行ったら、帰りに三角油揚げをもらった=写真。同じ町内の佐久間豆腐店でつくっているという。店主は私より少し年下ではなかったか。
 前は町内にもう1軒、豆腐屋があった。子どものころ(昭和30年代の高度経済成長期前)、鍋をもって豆腐を買いに行った。需要が増える田植えシーズン、豆腐配達のアルバイトをしたこともある。

 数が少なくなった地元の豆腐屋で三角油揚げをつくっている、ということは聞いていた。が、実際に見るのは初めてだ。おみやげに用意するところをみると、評判がいいらしい。

 震災前の2010年秋、郡山市立美術館へ行った帰り、三春ダムの近く、三春の里田園生活館そばのおおはたやで三角油揚げを買った。三春では、この油揚げに切れ込みを入れてネギなどを差し込み、焙烙(ほうろく)で焼いて、みそをつけて食べるのが好まれている、ということだった。

 三春だけのオリジナル油揚げと思っていたら、そうではなかった。秋田・由利本荘にも、宮城・定義にもあった。それよりうれしかったのは、三春と同じ田村地方のわがふるさとと、その東隣の都路にも三角油揚げをつくる豆腐屋がある。どこの三角油揚げも「外側はカリッ、中身はふっくら」が売りのようだ。
 
 家に帰って大きさを測った。厚さは4センチ。辺の長さがそれぞれ違う。直角三角形らしいので、斜辺を求める計算方法(ピタゴラスの定理)をネットで確かめ、あてはめてみたらだいたいあっていた。縦9.5センチ、横10.5センチの、長方形の豆腐を斜めにスパッと二分して、低温で揚げ、さらに高温で揚げて、「外側はカリッ、中身はふっくら」に仕上げるらしい。
 
 夫婦2人では食べきれない。いわきには厚さ4センチもある油揚げはない。珍しい形と味をどうぞ――そんな気持ちで近所にお福分けをした。
 
 三春町の三角油揚げは観光客にも知られているが、常葉や都路のそれは暮らしに根づいているだけのものだ。私が小さかったころはなかったから、新しい郷土食品にはちがいない。町の数少ない“特産品”のひとつとして、これからは帰省のたびにおみやげに買って帰ろうか

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