2011年1月22日土曜日
冬水田んぼ
いわき市錦町で用事をすませたあと、沼部町の鮫川を訪ねた。いわきで最も早くハクチョウが飛来したところだ。ざっと30年前、勿来支局勤務時代にたびたびバードウオッチングに通った。
橋の上から上流をながめると、カモたちがかたまって羽を休めていた。ハクチョウはそのなかに3羽しかいない。橋を渡ったら、白い大きな鳥たちが目に入った。左岸の田んぼにハクチョウたちが散開している。田んぼには水が張られている。「冬水田んぼ」ではないか。その数ざっと100羽、あるいはそれ以上か。
でもよく見ると、田んぼは一枚一枚様子が違う。水をたたえた田んぼ、ぬかるんでいる田んぼ、乾いた田んぼ、枯れヨシの生えている田んぼ……。
枯れヨシの田んぼは休耕田か。いや、「いわき市水道局 管理地」という標識が立っている。田んぼだったかもしれないが、今はヨシの生えた湿地に変わった。枯れヨシは刈り取ったか野焼きをしたらしい。見通しが効くのでハクチョウたちも安心して群れている=写真。
直近上流の同じ左岸に水道局の法田(はった)ポンプ場がある。地下水を一日に2トン、ポンプアップしている。ポンプ場と結びつけて考えれば、「管理地」は地下水を涵養する大地のダムの入り口になる。何もしない、ただ雨水の浸透を待つ――そんな役目をもった休耕田だろう。
ハクチョウの話だった。いわき市は、大きくは南部の鮫川流域と北部の夏井川流域に分かれる。ハクチョウは初め、鮫川に飛来し、年々、数を増やした。そのうち夏井川にも姿を見せ、今では北部の方が主な越冬地になった。日中はやはり田んぼで採餌をしている。
鮫川の水鳥、あるいは水鳥のいる鮫川にはいろいろ思い出がある。最初にハクチョウを見に行ったら、白化(アルビノ)したマガモの雄に出合った。ユリカモメが現れたこともある。鳥インフルエンザが問題になっている現代では考えられないほど、人間とハクチョウ、カモたちの距離は近かった。
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