2011年1月1日土曜日
『くじけないで』
2011年の幕が開けた。元日だから寝坊しようと思ったが、体が言うことをきかない。朝6時前後には起床する習慣がしみついている。ブログも休もうかなと思ったが、どうにも気持ちか落ち着かない。新聞2紙を読み終えてからパソコンを開けた。
年末に「いわき長寿学園 麦の芽会」から20周年記念文集が届いた。昨年夏、急死した知人の代わりに臨時講師を務めた縁だろう。会員には何人か旧知の人がいる。恩師の奥さんもその一人。
記念文集を開いたら、奥さんが「一遍の詩に魅せられて」と題して、今年100歳になる詩人柴田トヨさん(栃木)の詩を紹介していた。柴田さんの詩集『くじけないで』=写真=は、年末の新聞広告では「90万部突破」のベストセラーになっている。わが家にも帯に「60万部突破」と刷られた詩集がある。カミサンがいつの間にか買って読んでいたのだ。
恩師の家では産経新聞を購読している。1面の題字わきに詩の投稿欄「朝の詩(うた)」がある。<忘れもしない、平成二十年四月二十日掲載の、>と奥さんは書く。<『くじけないで』という詩が、目に留まりました。>
<柴田トヨさん(九十七歳)という方の詩です。/まず、お歳を見て驚きました。わたしは、「七十七歳の誤りではないのかしら」と。そして、この詩に心惹かれるものがあり、手帳に書き留めておきました。>
まだ作者がどんな人かも知らず、詩集にもならず、したがってマスコミで話題にもならない時点で、奥さんはしっかり柴田さんのことばを“貯金”した。こういっては失礼かもしれないが、生涯学習を旨とする普通の主婦の「慧眼」に感服した。
で、遅まきながら『くじけないで』を読む。「貯金」という詩に引かれた。<私ね 人から/やさしさを貰ったら/心に貯金をしておくの//さびしくなった時は/それを引き出して/元気になる//あなたも 今から/積んでおきなさい/年金より/いいわよ>
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