2011年1月3日月曜日
「ありがとう」
去年は春から秋まで毎朝、いきものがかりの「ありがとう」という歌を聴いた。NHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」のテーマソングだ。いやがおうでも覚えてしまう。BSハイビジョンは7時半から放送する。これを見る。カミサンは朝食の準備をするため、台所に立っている。わが家では、昔から私が朝ドラの視聴者だ。
大みそかの紅白歌合戦――。ついつい、というか、年越しの習慣のようなもので、始まりから終わりまで見てしまった。途中で、今回は二つのキーワードでくくることができるように思った。「感謝」と「祖(父)母」だ。
「感謝」は「ありがとう」。浜崎あゆみがのっけから母親に「ありがとう」と歌う。西野カナが親友に「ありがとう」と歌う。植村花菜が祖母に「ありがとう」と歌う。いきものがかりが文字通り、「ありがとう」を歌う。
「祖(父)母」は、植村花菜の「トイレの神様」、HYの「時をこえ」。「トイレの神様」はともかく、「時をこえ」は初めて聞いた。先の戦争で沖縄は戦禍に見舞われた。そのときの体験を「おばあ」から聞いて、<誰かに伝えなくちゃ、僕らが伝えなくちゃ>と決心する。沖縄の若者の心は深い。
私には孫が二人いる。満3歳と1歳。彼らは、いずれ宇宙の塵と化する私たちをどう記憶するのだろう。私自身は、祖父の記憶はない。
祖母は二人とも、15歳前後まで生きていた。憎まれ口をたたいたこともあるから、記憶はまだ生々しい。が、父方の祖父は私が生まれてしばらくしてから死んだらしい。母方の祖父は幼いころ、暗い部屋に寝ていたのを見た記憶がある。ガンかなにかだったのだろう。が、どんな顔だったのかは、遺影で知るだけだ。
母方の祖父母の遺影を掲げる=写真。私は、半分はこの人たちの血を受け継いだ。祖母は阿武隈高地の産。祖父は“流民”。少年のころ、仙台から流れてきて阿武隈の山里に住みつき、ささやかながら土地と家を手に入れた。
紅白歌合戦から「孫の時代」を思い出し、祖父母と孫の関係に思いがめぐり、草の根の生涯を送った人々がいて私たちがいる、やはり彼らに「ありがとう」だな、という気持ちになるのだった。
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