2011年9月16日金曜日
オニの攪乱
火曜日(9月13日)、カミサンが「頭が痛い」と言って、一日中カウチに横になっていた。“アイス鉢巻き”をしている。初めてのことだ。なにかの兆候? ありえる年齢だから、気にしながらも「激痛」ではないのでほうっておいた。前日の午後から、そんなことを言っていたのだった。結論から言うと、軽い熱中症だった。
9月も中旬に入って、かえって残暑が厳しくなった。夕方には憤怒の相をした老人のような黒雲=写真=がわき上がる。が、雨が降るまでには至らない。日曜日(9月11日)朝、夏井川渓谷の無量庵で草刈りをした。あまりに暑くてすぐ中止した――そんな話を、さきおとといの小欄に書いた。本能的に熱中症を避けたのかもしれない。
月曜日、カミサンがアルミ製の伸縮刈り込みバサミを使ってわが家の生け垣の剪定をした。私は午前中、仕事をしていた。朝、こんなやりとりをした。「高いところの枝を切って」「オレは腕が無力だから、剪定バサミがすぐ重くなる」「箸しか持ったことがないのね。『無力』じゃなくて『非力』というんじゃないの」
朝からカッと照りつけている。風がない。家の西側、生け垣がつくる日陰の中での作業だったとしても、空気はすでに熱せられている。作業に熱中したばかりに、体に熱がこもったのではないか――なんて、家の中で過ごした人間は勝手に想像する。
熱中症とわかったのは、広野町からいわき市に避難して来て、ときどきカミサンに会いに来る、ガンバル奥さんがやはり同じような症状になったことがあるからだった。昔は「鬼の攪乱」といった。
私も、無量庵の畑で真夏の暑い盛り、気分が悪くなったことがある。家の中に入って休んでも、気持ち悪さは治まらない。翌日まで症状が尾を引いた。それも「鬼の攪乱」だったのだろう。暑い日には、オニも攪乱する。お年を召した人はとにかく、ネコのように体を投げ出して何もしないで過ごすことである。
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