2011年9月29日木曜日
交流スペース
いわきで復興支援活動を展開しているNGO「シャプラニール=市民による海外協力の会」が先日、いわき駅前再開発ビル「ラトブ」のいわき産業創造館に行政、経済団体、市内NPOなどの代表を招いて意見交換会を開いた=写真。
いわき市(市民協働課、復興支援室)、富岡町、広野町の関係者のほか、いわき市社会福祉協議会、いわき商工会議所、平商連、いわき市民コミュニティ放送、いわきNPOセンター、ザ・ピープル、勿来まちづくりサポートセンターが参加した。
シャプラニールがいわき市で行ってきた支援活動を報告するとともに、今後予定している活動、たとえば「被災者向け交流スペースの設置・運営」といったことについて説明し、意見を聴いた。
シャプラは来年で設立40周年を迎える。市民によるNGOとしては日本で最も古い組織だ。いわき出身の私の友人が創立メンバーの一人のため、個人的に前からシャプラとかかわっている。
もともとはバングラデシュとネパールで「取り残された人々」の支援活動を続けているNGOである。それが、東日本大震災の惨状に急きょ、国内でも支援活動を展開することにした。
宮城、岩手両県と違って、福島県の浜通り、北茨城市を含むいわき市には原発事故もあってNGOが入っていない。そこで3・11のあと、北茨城から支援を開始していわきに移り、以後、いわきを拠点に被災者に向き合った活動を続けている。
救援物資の運搬、災害ボランティアセンター運営の支援、一時借り上げ住宅入居者などへの生活支援プロジェクト(調理器具セットを配布=約950件)、久之浜、豊間両中生徒のための夏休みスクールバス運行と、時間の経過とともに変わるニーズにこたえてきた。
生活支援プロジェクトでは調理器具セットを届けながら、聞き取り調査をした。そこから①コミュニティの分裂②土地勘もなく、知り合いも少ない不安③高齢者、要介護者、病気を抱える人がいる世帯の多さ④買い物・通院・通学の不便さ⑤情報不足⑥仮設住宅・雇用促進住宅への支援の集中⑦先の見えない不安――が見えてきた。
なかでも、被災した自宅に残る世帯に支援が届いていないこと、民間住宅入居者にとって不公平感があることがわかったという。
同じ被災者ながら「見捨てられている」という思いを抱いている人々がいる。そういう人たちを取り残してはならない――これが、シャプラの基本的な姿勢と言ってもいいだろう。
そこで、そういう人たちのために①交流スペースを設置・運営する(常駐スタッフの配置・情報コーナーの設置)②情報紙を発行する③「声を聴く会」を開催する―などのプランを、意見交換会の席で提案した。
これに対して、シャプラへの期待・アドバイス・注文、その他行政への要望といったものが出された。広野町、富岡町の関係者の意見は傾聴に値するものだった。
「仮設住宅からバス停まで遠い。仮設の前にバス停を移せないか」(広野町)「いわきには4000人がいる。県外にいる6000人も、ほとんどがいわきに来るのではないか。(シャプラが町より)先行して交流スペースを運営してくれるとありがたい」(富岡町)
シャプラの交流スペースは10月9日、「ラトブ」2階にオープンする。落語やキルトなど、被災者の息抜きになるような催しも企画されている。
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