2012年4月7日土曜日

いわきも「三春」に


滝桜で知られる福島県田村郡三春町の「三春」は、梅・桃・桜が一緒に咲くことに由来する。冬枯れの山野が、里が春になると花でいっぱいになる――いかにも桃源郷的なイメージがあって好ましい。その場合の桜は、ソメイヨシノではなくて山桜。ソメイヨシノは近代の交配種だから、三春の地名の由来にはふさわしくない。

東北で最初に春が訪れるいわき市もまた、今年は「三春」になりそうな気配だ。ただし、こちらはソメイヨシノを含めてのことだが。

わが散歩コースは、車で行けば河口まですぐ、という夏井川の下流域。対岸の丘陵中腹に梅の名所・專称寺がある。ふもとから山門にかけて植えられた白梅約500本がほぼ満開になった=写真。それが、こちらの堤防からもわかる。梅の香が川面を渡ってくるとうれしいのだが、それは無理か。

厳冬で梅の開花がだいぶ遅れた。4月に入ってようやく満開になった。マスメディアが取材するので知られるようになった平市街の早咲きソメイヨシノも、今年は開花が遅れた。

梅が咲き残るうちに、普通のソメイヨシノも咲きだすだろう。山桜も開花するだろう。庭の花桃も、ハクモクレンも……となれば、いわきの平地は一気に「三春」になり、「五春」にもなる。来週あたり、その気配が濃くなるのではないか。

厳冬に耐えていたいのちが、春の光をエネルギーに変えて目を覚ます――1年前は春がきたことも、花が咲いたことも、よくわからないままに過ぎた。今年は2年分、花見が楽しめる。

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