2012年4月21日土曜日

ビートボクサー


ビートボクサーが“春風”をもたらした=写真。きのう(4月20日)夕方、イトーヨーカドー平店にある被災者の交流スペース「ぶらっと」を訪ねたら、彼がスタッフやボランティア、常連客の前でライブをやっていた。

口とのど、舌、指などを使って打楽器のような音を出す。テレビで見たことはあっても、生で演じるのを見る(聴く)のは初めて、という人が多かった。「のどにカエルを飼ってるみたい」。オバサンたちはびっくり仰天した。

「ぶらっと」は最初、ラトブにあった。そこでのイベントを、そしてそれに飛び入りで参加したビートボクサーのことを、昨年11月下旬に小欄で取り上げた。今年2月、彼から「その時のビートボクサーです! 時々ストリートライブをやってるんで見に来てくださいね!」というコメントが入った。

福島高専の1年生、いや4月になったから2年生だ。「ぶらっと」の新スタッフにも高専OGがいる。私も昔、その学校にいた。16歳、30歳、63歳。東日本大震災以来、ときどきある人間の不思議な出会いの一つといっていい。

開高健ではないが、去年の春は野原を断崖のように歩くしかなかった。断崖の連続だった。今もその思いに変わりはない。が、今年は野原を歩きながら花見でもしようか、という気持ちが芽生えている。同窓の人間との出会いも花見と同じような心地よさを伴う。精神的に少し落ち着きを取り戻してきたらしい。

津波の被害に遭った人たち、原発事故から避難を余儀なくされている人たちからは、「今も断崖にいるのに」としかられそうだが、仕方がない。散歩の途中で、車で出かけた先で、桜があれば見ほれる。それが私の花見。今年はどのソメイヨシノもきれいに見える。

さて、人は会って話してみるものだ、話すから出会えるものなのだと、あらためて思う。ビートボクサーはいつ、どこでストリートライブをやっているのか。「いわき駅前で、学校の帰り」。ということは午後の遅い時間だ。その現場にいつかは遭遇してみたい。

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