阿武隈の山里では、場所によって「民間住宅」の除染作業が行われている。田村市常葉町の実家に帰った翌朝、阿武隈の主峰・大滝根山(1193メートル)を越えるルートを利用していわき市に戻った。阿武隈で一番高い峠を下りかけたら、「除染作業をしております」という立て看に出合った=写真。そこは川内村だ。
立て看には、村が川内村復興事業組合に「民間住宅等除染作業」を委託したことが記されている。9月28日までの期限ということは、対象民家が複数あるということだろう。
下りきった道路沿いの田んぼの隅に青い土嚢が並んでいた。反対側の山裾。民家の除染が行われたようだ。すっかりなじみになった、大きめの土嚢だ。
いわき市では海岸線に黒い土嚢が並ぶ。壊れた海岸堤防の代用だ。災害がれきを入れたのか、肌色の袋が積まれたところもある。青い土嚢には除染で出た土が入っているのだろう。
荻(いわき市川前町)~川内村~田村市都路町および常葉町の一部では、今年も稲作が中止された。田んぼは乾き、草で覆われている。その草を刈り、あるいは耕起して「次」に備えているところもある。草だらけの田んぼもある。
手をかけなければ、あっという間に農地は「原野」に帰る。人間が自然にはたらきかけることで農村景観は維持されてきた。草刈りが原点だ。その景観が荒れて淋しいものになりつつある――今度の帰郷でもまたそんな印象を受けた。
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