2012年8月16日木曜日

阿武隈のセミ


残暑が続く。夜も家の中に熱がこもっている。エアコンなどはない。窓と戸は寝るまで開けたまま。扇風機をかけてはいるものの、家の中でも熱中症に注意しないといけない――今年は特にそのことを意識している。

そんなある夜、アブラゼミが茶の間に飛び込んできた。電灯を消したりつけたりするひもの先に、逆さに止まった=写真。夜のセミだ。こんなことがときどき起きる。

わが家は開放系だから、蚊取り線香が欠かせない。緑色ではなく、茶色に近いものを使っている。気管支の弱い孫が夏場、わが家に来ないのは(つまり、親が連れて来ない)のは、蚊と蚊取り線香のためでもあろうか。

来ると、たちまち蚊に刺される。きのう(8月15日)がそうだった。緑色の蚊取り線香は孫ののどによくない。茶色の蚊取り線香は、「蚊取り」というより蚊を寄せつけない「蚊やり」だ。

おっと話がそれた。蚊ではなく、セミの話だ。いわきのわが家は、西に阿武隈の山々を仰ぐ平地にある。庭のカキの木でニイニイゼミが鳴き、アブラゼミが、ミンミンゼミが鳴く。そのうちツクツクボウシも鳴きだすだろう。

エゾゼミは、いわきの平地にはいない。阿武隈越えのルートで田村市常葉町の実家へ帰った折、カーラジオを消して車窓から飛び込んでくるセミの鳴き声に注意した。往路は川前~川内~都路ルート。夕方だった。行けども行けどもヒグラシが鳴いていた。

帰路は大滝根山を越えるルート。ふもとから山を越え、川内からいわきへ入っても、「ギー、ギー、ギー、ギ―」というエゾゼミの鳴き声が続いた。川前で夏井川渓谷へ出た瞬間に、セミの鳴き声はアブラゼミに変わった。

エゾゼミは幹に逆さに止まる習性がある。幹をけるとポトリと落ちる。小学生のころ、そうしてエゾゼミを捕まえた。今度の阿武隈往復でエゾゼミの生息範囲がなんとなくわかった。

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