台湾高速鉄道の台中駅――。階上の「月台」(ホーム)で列車を待っていると、人間の間をせわしなくセキレイが動き回っていた=写真。顔全体が白い。ハクセキレイだと、白い顔に横に黒い過眼線がある。それがない。ホオジロハクセキレイだった。
もう30年以上前のことだが、北日本に多いハクセキレイが南下し、南からはホオジロハクセキレイが北上しつつある。セグロセキレイは、サンドイッチ状態で分布域が狭まっている――そんな調査結果を読んだ記憶がある。台中のホオジロハクセキレイから、突然、セキレイ界の“すみわけ異変”を思いだした。
今度の台湾観光では、山地(日月潭)を訪ねるので国鳥のヤマムスメ(カラスの仲間)に出合えるかもしれない、と淡い期待を抱いた。黒い頭に青い背中、長い尾、赤いくちばしと脚。写真を見ただけでとりこになった。ガイド氏に話すと、目を丸くした。「ヤマムスメは国宝だよ。玉山のような高い山に行かないとムリ」。「国宝」はともかく、軽く一蹴された。
帰ってから知ったのだが、ヤマムスメにほぼまちがいなく出合える山(陽明山国家公園)が台北市の郊外にある。しかし、それはバードウオッチングを目的にした観光であって、そのへんを歩いていて出くわすような鳥ではない、ということはわかった。
すると、市内観光ではやはり目の前に現れたセキレイやスズメ、車窓から見たツバメや溜め池のサギ類くらいしかバードウオッチングの対象にはならない。
高雄のスズメの一部は街路樹をねぐらにしているようだった。高鉄の左営駅の構内にも、左営駅に近い蓮池潭の龍虎塔にも、スズメは自由に出入りしていた。スズメはむろん留鳥だ。
ホオジロハクセキレイは、台湾では留鳥ないし冬鳥らしい。ツバメも留鳥と日本から渡ってくる冬鳥がいる。もっと南に渡る旅鳥のツバメもいる。ちょっと見には、南方から北上中のツバメか、越冬して北上を開始するツバメかはわからない。さすがに亜熱帯~熱帯の島だけのことはある。
「ついでにバードウオッチング」は、台中でホオジロハクセキレイに出合えたので、それだけでもよしとしよう。
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