2015年7月11日土曜日

カラスの“から巣”

 近所にカミサンのおじ(故人)の家がある。庭にホオノキの幼樹を植えたら、クスノキが芽生え、ホオノキの背を超えて枝葉を広げた。クスノキは常緑樹。かわいそうだが、ホオノキには成仏してもらった。
 クスノキを生長するままにしたら、見上げるような大木になる。それは困る。きのう(7月10日)、近所のプロ(造園業)に頼んで剪定した。剪定は5年ぶり、三度目だ。
 
 ひとつだけ注文した。こんもり茂った緑の内側にカラスの“から巣”がある。“から巣”をそっくり切り取ってほしい――。プロの手で、あっというまにクスノキは“散髪”された。初めて“から巣”を観察した=写真。直径は40センチほどだろうか。
 
 世の中はおもしろいもので、カラスの好きな人もいれば、嫌いな人もいる。ツバメだってそう。家の玄関で巣づくりを始めると、フンを嫌って壊す人がいる。その一方で、ツバメの“同居”を歓迎する人も、一時的だからと我慢して“共生”する人もいる。家の庭木についても、同じように「一年中緑があっていい」「こんなに大きくしてどうするの」と反応はさまざまだ。

 近くの家のおじいさんによると、今年、カラスは巣ごもりをしなかった。が、5月の初めにカラスが卵を温めているような姿を見た記憶がある。カラスが2年続けて営巣しているようなので、剪定時期を7月まで遅らせたのだった。

 巣はいたって堅牢だ。幹と枝の股(また)に木の枝を組み合わせて円形の“産座”をつくった。下段はやや太い、丈夫な枝。中段はそれより細い枝で、くちばしで枝をしならせながら、編みこんだようだ。がっちり枝がからみあっている。その枝と同じくらいの太さのハンガーが6~7個、組み込まれている。

 電柱に営巣したら、木の枝やハンガーが電線に接触して停電の原因になる。電力会社は神経をとがらせる。金属製の腕木にくるくる回る風速計のようなものが付いている。カラス除けだと電力マンに聞いたことがある。

 さて、じかに卵を産む巣の上部はどうか。ブルーシートのほつれた繊維、綿くず、木の葉が敷き詰められていた。弾力があってやわらかい。“三層構造”になっている。カラスも腕のいい建築家だった。

 “から巣”は庭に置いた。まるでオブジェ。それが太陽と風と雨とによってどう変化するのか、せっかくだからカメラで経過を記録しようと思っている。

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