いわき市の写真集団ZEROの作品展がきのう(7月8日)、北茨城市の茨城県天心記念五浦美術館で始まった。日曜日の12日まで。
いわき市は東北の最南端、北茨城市は関東の最北端――と、ひとまずは区分できるが、両市は隣り合っていて、いわき市南部の勿来地区とは結びつきが深い。いわき市の北部に住む人間は、直接の交流がない分、30分ほどで関東へ“越境”し、旅をした気分になれる。
展示会場に入るとすぐ、星空を仰ぐ子ども2人のシルエット写真が目に入る=写真。案内状に使われていた作品で、「ぼくらの星空」というタイトルが付いている。
41人が1人2~4点を出品した。いわき明星大復興事業センター震災アーカイブ室も特別参加をし、同センターが収集したいわき市と北茨城市の震災関連写真を展示している。写真集団にはリーダーの上遠野良夫さんのほか、何人か知り合いが属している。モーターパラグライダーの「かもめの視線」氏も作品を発表した。
「ぼくらの星空」は、タイトル通りの写真だ。冬の夕日が沈んで間もない時間帯だろう。北斎ブルー(ベロ藍)を思わせる、青~紺~黒のグラデーションを背景に、野外で防寒着をまとい、シルエットと化した子どもが2人。1人は天に向かって両手を突き上げ、もう1人はじっと星たちを見つめている。やや上方には光の軌跡(流れ星、いや銀河鉄道?)も見られる。
最初に作品を見たとき、今年に入って少したってからだが、写真というよりイラストっぽい感じを受けた。誰も狙わない時間帯と素材、「銀河鉄道の夜」のジョバンニとカムパネルラを連想させるような画面構成。実は……、シルエットの子どもは私の孫で、子どもの父親が撮った。
父親はもう1点、眼光らんらんとしたいきものを流線形化したような作品も出した。が、よく見るとそれは猛禽ではない、飼い猫を素材にしたものらしかった。技法的にはよくわからないが、写真と美術を融合させるようなところで作品づくりをしているらしい。
最近、新しいカメラとレンズを買った。いわきの人たちの多彩な作品に触れながら、ふだんの撮影とは別に、何かひとつ、たとえば花やクモの巣、ヤカンの「水滴」などを追い続ける必要性を感じたりしたのだった。
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