2017年3月15日水曜日

開業100年の新駅舎

 JR磐越東線の川前駅は今年(2017年)秋に開業100年の節目を迎える。たまたまか、節目のためかはわからないが、駅舎が建て替えられたというので、夏井川渓谷の隠居へ出かけたついでに足を延ばした。
 鉄道は西洋から入ってきた。それもあって、木造駅舎には和洋折衷型が多い。レトロな外観には鉄道ファンならずとも引かれる。いわき市内の磐東線でいえば、赤井、小川郷駅。川前駅も去年まではそうだった。信号所から駅に昇格した江田駅は、ホームに待合室があるだけだが、これはこれで寂寥感が忘れがたい。

 磐東線は大正3(1904)年以降、郡山といわき側から少しずつ営業区間を伸ばしていった。いわき側は小川郷駅、郡山側は小野新町駅の間、夏井川渓谷の難工事を経て全線が開通するのは同6年10月10日。つまり、いわきの川前駅も小野町の夏井駅も、この日が開業日だ。

 物心づいたころ、祖母に連れられて平の叔母宅、小名浜の叔父宅へ行くのに船引駅から磐東線を利用した。高専に入ってからは、夏休みなどに仲間と客車の一角を占めて帰省した。まだSLだった。渓谷ではトンネルと鉄橋が連続する。トンネルに入るとあわてて窓を閉めた。

 山峡を夏井川が流れる。それに沿って鉄路が伸びる。県道沿いの集落から折れて橋を渡ると、川前駅が見えてくる。新駅舎は和風でモダン、マッチ箱のように“かわい”かった=写真。窓を広くとった待合室には光があふれていた。

 この駅にまつわる記憶はただ一つ、「列車待ち」。磐東線は単線のために、上下の列車をどこかの駅で交換しないといけない。川前駅でそれが行われた。現在も9時10分と16時14分に行われている。ホームで待ち合わせ、上り下り同時に発車する。

 駅前は結構広い。新駅舎の写真を撮りに行った2月26日には、駅のそばで市の「川前駅前公衆トイレ」建設工事が行われていた。その隣には川前駐在所。この空間を使ってなにかイベントができるのではないか、そんな感慨にひたった。巨木のカツラも橋のすぐ上流、夏井川の右岸にそびえている。ゴールデンウイークごろの新緑が美しい。

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