朝ドラの「べっぴんさん」にアイビーファッションの青年社長が登場した。モデルはアパレル企業「VAN」の創業者だろうと、団塊の世代なら容易に想像がつく。
16歳、高専1年生。「平凡パンチ」が創刊される。大橋歩が描いた丈の短いジャケット、細身のコットンパンツの若者たちの表紙イラストが評判になった。22歳。長髪とジーパンにおさらばして、兄からもらった背広とネクタイのサラリーマンになる。そのころ、街を「平凡パンチ」の表紙から飛びだしたような「VAN」ブランドの若者が行き来していた。かっこいいけどオレには合わないな、と思った。朝ドラを見ても同じ感想を抱いた。
カミサンがいろんな服のタグを利用して、座ぶとん大のキルトをつくった=写真。ブランド品とは無縁だから、どこからか届いた廃棄古着のタグを縫い合わせたのだろう。「ハナエ・モリ」とか「バーバリーズ」、あるいは「マクレガー」「ノンノン」(すべてアルファベット表示)あたりは聞いたことがあるような……。キルト作りの先輩に「アートね」といわれたそうだ。
中に「VAN」のタグがあった。「VAN」を身に着けたことはないが、懐かしさがよみがえった。コットンパンツのポケットに手を突っ込んだ、朝ドラのあの青年社長の顔が浮かび、「平凡パンチ」創刊号の表紙にも思いが及んだ。
このごろは、衣類のタグとは別に、「タグ付け」という言葉をよく目にする。フェイスブックにアップされた写真に、ときどき「〇〇さんがタグ付けされました」と表示される。荷札のように名前が扱われている。それに比べたら、「タグ付け」キルトはわかりやすい。一つひとつの荷札はそのままで、全体が組み合わさって壁掛けのような“作品”になった。
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