2017年3月22日水曜日

8カ月ぶりの床屋談議

 前日(春分の日)の穏やかな晴天と打って変わって、冷たい雨の降る一日になった。庭のスイセン=写真=もスミレも震え上がっていた。あしたは小学校の卒業式。案内がきている。散髪して臨まなくては――8カ月ぶりに近所の床屋へ出かけた。
 店は国道6号沿いにある。おばさんが近くのすまいから通って営業している。6畳一間ほどの小さなスペースだ。自作の俳句・短歌を書いた色紙と短冊が、壁とテーブルの上にびっしり飾られている。日々感じたことを季語や文語にとらわれず、五七五と五七五七七につづっている――そんな印象だ。

「この連休に娘夫婦と万次郎、万三郎山へ行ってきた」「万太郎山もあるよね」。いわき市の鬼が城山の北にある川内村の山を思い浮かべて言ったものの、話がかみあわない。あとで万次郎・万三郎を検索したら、天城山のハイキングコースだった。山歩きが好きだとは、前に聞いていた。

 国道6号は交通量が多い。原発事故直後は収束作業、その後は廃炉・除染作業の車両でさらに込むようになった。大型車が通るたびに店が揺れる。振動と騒音が間断なく続く。道をはさんだ隣家に引っ越してきた人は、最近、騒音を遮断するために塀を巡らした。「会ったことはないんだけどね」という。

 おばさんは一日中、ラジオをかけている。センバツ高校野球が始まり、大相撲春場所が続いている。きのうは雨でセンバツが順延になった。大相撲の放送が始まるにはまだ早い時間帯だが、久しぶりに誕生した日本人横綱の話になった。「稀勢の里はいいねぇ」というので、「横綱になって表情が穏やかになったよね」と返したが、反応がない。ラジオを聞くだけではその変化はわからないか。

 前回と同様、今回もイメージしていた以上に刈り上げられた。帰宅すると、いきなり「坊さんみたい!」とカミサンが叫ぶ。その代わり、半年は床屋へ行かなくてもすむと、胸のなかで切り返した。

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