2017年4月16日日曜日

山里暮らし

 稲作や野菜栽培だけでは食べていけない。そもそも稲作のできないところがある。生きるためには自然を利用する知恵とウデが要る――山里はそういうところだ。弥生的、いやそれ以上に縄文的。その“合わせ技”がヤマの暮らしを豊かなものにする。
 縁あって、週末、夏井川渓谷の小集落にある隠居で過ごす。先日も書いたが、渓谷の春の花・アカヤシオが咲き出すと、集落の守り神・春日様のお祭りが行われる。今年(2017年)は1週間前(4月9日)の日曜日がハレの日だった。あいにく天気は雨だったが。

 集落の裏山に鎮座する春日様に詣でたあとは、「直会(なおらい)」に移る。この日だけは神様も許すのか、アルコールが入るたびに猥雑なエネルギーに満たされる。道路の上の線路からイノシシが列車にはねられて降ってきた。それをすかさず拾って、さばいて食べた。あるいは、水力発電所の導水路でウナギやカニを捕った……。想像を絶するような体験談が次々に飛び出す。

 直会のヤドはこのところ、固定している。Kさんの家の一角にできた「宴会室」だ。土間にテーブルといすが置かれ、一段高いコンクリートの床にはカラオケ装置がセットされている。流しも冷蔵庫も、まきストーブもある。裏山に煙が立ち昇る=写真。けむに巻かれるのは久しぶりだ。
 
 現役のころは土・日と隠居で過ごした。今は日帰りだ。ウーロン茶で下ネタを聞いたり、カラオケをやったりするのはきつい。隠居に泊まれるように、「土曜日に前夜祭をやろう」なんてうれしいことをいわれる。

アルコールが入るごとにどんどん建前の世界から離れていく。「牛小川の自然だけでなく、人間のことも書いてよ」。住民と腹を割って話せる関係になったからこその“注文”だが、私にも元ブンヤとしての“節度”はある。事実だからといって下ネタばかり書くわけにはいかない。ま、そんなこんなで雨の一日、大人たちは神様の子になって遊んだのだった。

 それから1週間。快晴のきょう(4月16日)はこれから、満開のアカヤシオに会いに行く。

0 件のコメント: