マチの第三次産業からヤマの第一次産業へ――。知り合いの若い女性が林業会社に転職した。杉やヒノキの苗木植えが仕事だという。世にいう「林業女子」だ。
会社はいわき市遠野町にある。「H商店? 知ってるよ」。社長とはおよそ35年前、勿来青年会議所で知り合った。たがいに30歳前後の“青年”だった。勿来支局に転勤すると、当時の青年会議所理事長に入会を勧められた。会社が了承した。
このごろはイベントで顔を合わせる程度(最近では去年12月19日、FMいわきの開局20年を記念する「感謝のつどい」で言葉を交わした)だが、会えばすぐ「あのころ」にタイムスリップする。
H商店のホームページを開いて驚いた。「社員紹介」はインタビュー形式だ。10人のうちベテラン1人を除くと、みんな若い。市外からの移住組もいた。それでも、「震災から変わった。社員が減って今は14、5人」(社長インタビュー)という。震災前は「20人以上いた」。
哲学者内山節さんの本で知ったのだが、20世紀の終わりから「若者が山里を目指す」現象がみられるようになった。それが今、いわきでも顕在化しつつあるということだろう。「林業女子」が現れても不思議ではない。
いわき市は、かつては「日本一の広域都市」だった。しかも、市域の7割が森林だ。中山間地へ行くと、杉の人工林が広がる=写真。
「循環型社会」を推進するには、木を切って植える、つまりは森林の利用と維持・管理が必要になる。除伐・間伐・造林といった仕事は途切れなくある。きつい職場だが、「身の丈に合った文明」を支える未来型の産業でもある。ずいぶん機械化も進んでいるという。
半ば押し付けるように、森と林業について考察した哲学者の本を、林業女子に貸した。
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