きのう(4月29日)のNHK朝ドラ「ひよっこ」。半分期待していたことが起きた。
集団就職列車のなかで「奥茨城村」の3人組(少女2人、少年1人)が女の子と出会う。青天目澄子(なばためすみこ)=写真。出身は「福島のいわきです」。3人組は茨城の高校を、青天目澄子はいわきの小名浜中学校を卒業したばかりだ。
中卒少女が心細い思いでひとり反対側の座席に座っている。それに気づいた主人公の高卒少女、谷田部みね子が声をかける。なんと、就職先がみね子ら少女2人と同じ東京のトランジスタラジオ工場だった。
「いわき」は磐城?岩城?石城? はたまた平仮名のいわき? どれでもいいが、舞台が「奥茨城村」ときては、北隣の村は「福島の『奥いわき村』」にちがいないと、勝手に思い定めていた(昭和39年当時は「石城郡」の村々。14市町村が合併して「いわき市」が誕生するのは昭和41年)。
いわき市南部と茨城県の北部は人の行き来が濃密だ。風土的にも共通している。いわき地方の山里が舞台といっても通じる、いわきの準「ご当地朝ドラ」。語尾の「ぺぇ・べぇ」も同じだし、「青天目」姓も茨城と接するいわきの南部に多い。
昭和39年の東京オリンピックのあとに高校、中学校を卒業して東京の会社に就職――という設定が、団塊の世代(昭和22~24年生まれ)には生々しい。オリンピックの年に、私は高専に入学した。その意味では、「ひよっこ」のみね子たち3人組は2歳年上、同世代の物語だ。
みね子の父親は東京へ出稼ぎに行き、いったん稲刈りに戻って来たものの、再び上京して失踪する。前は国会議事堂の見える霞が関のビル建設現場で働いていた。当時は地方のどこの町・村でも農閑期の出稼ぎが普通だった。
超高層ビル第一号「霞が関ビル」(36階建て、147メートル)の建設現場で、夏休みにアルバイトをしたことがある。同ビルは昭和40年に着工し、43年4月にオープンした。みね子の父親が建設現場で“ネコ車”を押す姿に、つい「ネコは一輪車だからバランスをとるのが難しい」なんて、感情移入をしてしまった。
高度経済成長のエンジンがうなりを上げていた。ちょうど大人になりかけていた10代後半。「ひよっこ」に、自分の“青春”のあれこれが重なる。ふわっとした増田明美のナレーションが登場人物の心の生傷を包む。
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