「風土」とは、大気の底と大地の表面が触れあうところ。その風(大気)と土(大地)はそこだけの、ほかに同じところがないローカルなものだ――それが、先日も触れた三澤勝衛(1885~1937年)の地理学的本質。
きのう(4月2日)は久しぶりに夏井川渓谷の隠居で過ごした。4月10日に種をまく「いわき葱」(いわき一本太ネギ)の苗床用の土づくりをした。といっても難しいことはなにもない。物置にあったプラスチックの育苗箱(ポットが4列×4列=16個ある)に、苦土石灰をまぜこんだ土をふるいにかけて入れる。3箱、つまり48ポットに培養土を盛った。これが春の土いじりの始まり。
白菜漬けから糠漬けに切り替える端境期でもある。漬物がないと食が進まない。前に国道49号沿いの直売所「三和町ふれあい市場」で買ったハヤトウリのみそ漬けが口に合った。あれば5パックくらい買って冷凍保存をしながら食べる――まずは直売所へ車を走らせた。
ハヤトウリのみそ漬けは販売が終了していた。来年まで待つしかない。代わりの漬物を買ったあと、前とは逆ルートで差塩(さいそ)へと山を駆け上り、川前へ急坂を下った。雪は消えていた。
春は地べた、つまり大地の表面から始まる。急坂にフキノトウが頭を出していた。黄色い花はタンポポ? 隠居では育苗箱の土づくりをしたあと、周囲を巡った。小流れのそばにキクザキイチゲが咲いていた=写真。ウグイスも近くでさえずっている。木々はまだ裸のまま。姿がはっきりわかる。今年は、平地の夏井川の河川敷より早く、渓谷で「ホー、ホケキョ」を聞いた。
大地と大気の温度が少しずつ上がってきた。いわきの平地では間もなくソメイヨシノが開花する。渓谷のアカヤシオ(方言・イワツツジ)も時を同じくして花を咲かせる。といっても、真っ先に咲くポイントにピンクの花はまだない。今年は遅いか。きのうはチラホラ、気の早い行楽客の姿が見られた。
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