街からの帰り、夏井川の堤防を利用する。2週間前の土曜日は行くときもそうした。新川が合流するところにハクチョウが羽を休めている。それを堤防の上から眺めるためだった。
途中にソメイヨシノの並木がある。樹齢は小学生の「昭和48年度卒業記念」とかで植樹されたようだから、およそ45年だろうか。人が大勢出て剪定作業をしていた。帰りも作業を続けていた=写真。
通り過ぎながら思い出したことがある。前々日、飲み会で隣に座った地元の区長さんが言っていた。てんぐ巣病にやられて、枯れた枝がかなりあるらしい。前にも剪定作業をしていたから、症状はかなり重いようだ。
ソメイヨシノは、葉より先に花が咲く。てんぐ巣病にかかった枝は花の前に葉を広げる。やがて枝が枯れる。それもあってか、ヤマザクラに比べるとはるかに寿命は短い。「寿命60年」説が言われている。それより早く樹勢が衰えた。
わが家から一番近いソメイヨシノの名所はいわき市北部浄化センターだ。夏井川のそばにある。敷地と堤防の境界に植えられたソメイヨシノはおよそ60本。それが200メートル以上にわたって植えられている。バッサリ剪定された街寄りのソメイヨシノよりは小ぶりなようだから、樹齢もそれよりは若いだろう。てんぐ巣病の被害は目立たないが、やがて大がかりな剪定ないし伐採・樹種転換を余儀なくされるにちがいない。
理由は異なるが、近所の家の庭にあったソメイヨシノの大木が去年(2016年)の冬、伐採された。根っこが隣家に延びたためだとか。
花そのものはパッと咲いてパッと散る。木が元気なうちは花がきれいだが、40年がたち、50年がたつと、急激に老化する。おそらく全国各地で同じ問題が起きている。
ソメイヨシノは「勝てば官軍」側の「戦勝桜」だ。明治になると、ヤマザクラを切ってソメイヨシノを植える風潮が広まった。戦争反対――。ソメイヨシノから本来のヤマザクラ系に切りかえるときがきた、というべきか。
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