「ネズミが死んでる~」。カミサンの声がふるえていた。片づけてほしい、といっている。夏井川渓谷にある隠居の風呂場――。ふたをはずしてカラにしてある浴槽に、小動物が1匹横たわっていた。
ネズミっぽいが、ネズミではなさそうだ。モグラかもしれないが、よくわからない。ひとまず取り出して、顔=写真上、全身=写真下、腹の“記録写真”を撮る。鼻先が細く長い。耳はキクラゲ、尾はひものようだ。頭胴長は7センチほどだろうか。
ネットでモグラとその仲間のヒミズの写真をチェックする。耳はあるかないかわからない。前足もグローブのように大きい。尾はブラシのようになっている。一番しっくりくるのは、ネズミよりモグラに近いジネズミ、あるいはトガリネズミだ。
トガリネズミはいわきに生息しているかどうかはわからない。ジネズミは日本のどこにでもいるというから、これだろうか。
トガリネズミについては、こんなことが紹介されていた。体が小さく、エネルギーを蓄えられないので、えさがないと数時間で餓死する。似たような体形のジネズミも絶えずえさを食べていないと餓死してしまうのではないか。
隠居には昔、夜にどこからかノネズミが現れた。昼、庭にいると、テーブルの下で動き回る小動物がいる。モグラの仲間とそのときは思ったが、今となってはよくわからない。
この小動物はどこからどう風呂場に現れたのだろう。窓際に蛇口をひねれば水が流れる石組みのスペースがある。その排水口から入りこみ、石のようなタイル壁をよじ登って、浴槽のへりに上がった? 下をのぞいているうちに誤って落っこちた? プラスチックの壁を登れなくなった? で、ほどなく餓死した?
まずは種の同定だ。どなたか写真からわかることがあればお教え願いたい。哀れな冒険家の生涯を想像し、線香の一本でもあげてやりたいから。
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