例年、師走になるとヨークベニマルのいわきの店にも、郡山市の阿久津曲がりネギが並ぶ。あれば2束ないし3束を買う。
ところが、今年(2017年)はもう年末だというのに、まだ口にしていない。街へ出かけたついでに、ベニマルで買い物を――となったのが2回。2回とも空振りだった。
先々週の日曜日(12月17日)、夏井川渓谷の隠居へ行ったついでに、田村郡小野町の直売所「おのげんき」へ漬物用の白菜を買いに行った。ガソリン代をかけてなぜ? 前にも書いたが、ひとつは山里ドライブ。阿武隈高地生まれの山猿には、それが性に合っている。もうひとつは平地より山里の白菜が甘いから。
曲がりネギがあったので、白菜と併せて買った=写真。田村地方では曲がりネギの生産が多い。
もう7年前になる。レジの女性と話した。「三春ネギか」「いや、須賀川のネギ」。須賀川といえば、千住ネギの合黒系らしい源吾ネギがある。同じ曲がりネギでも加賀ネギ系の阿久津曲がりネギとは系統が違う。どちらにしろ、小野町では普通に曲がりネギが生産されているわけだ。
これも7年前に書いたことだが、小野町は中通りと浜通り南部との交通の要衝だ。郡山・三春だけでなく、須賀川との往来も容易だったのだろう。
おととい(12月26日)の県紙に「阿久津曲がり/ねぎ窃盗被害/郡山」の小さな記事が載った。連休初日の23日昼ごろ、生産者が畑に行ったら何者かに約30本(1500円相当)を引っこ抜かれていた。4~5年前から被害が出ており、去年は約600本を盗まれたという。
リンゴ、サクランボ、ブドウ。ニュースで知った盗難だが、身近な場所でもこんなことがあった。
震災があった年の夏、わが家の近くの畑に札が立った。「キャベツ泥棒発生 8月13日夜」。手書きの段ボールが竹の棒にひもで結わえてあった。その3年前には別の場所の畑に、「告!!
農作物を取るな ドロボーした作物旨いか 警察に通報してある 地主」の札が立った。
曲がりネギにするには暑いさかりの8月、一度掘り起こして斜めに植えなおす「やとい」という作業をしないといけない。普通のネギの倍の手間がかかる。生産者の労苦を思うと、犯人のさもしさにはらわたが煮えくり返る。同時に、加熱したあとの甘み・やわらかさ・とろみが脳内に広がる。無性に阿久津曲がりネギを食べたくなった。
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