抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)の代替療法として、心臓の「左心耳閉鎖術」を受けることになり、そのための検査が何回かあった。
採血や心電図はともかく、心エコーは初めてだった。引き続き、経食道心エコー検査が行われ、日をおいて心臓CTも行われた。これらも、もちろん初めてだ。
かかりつけ医院と違って大きな病院なので、どこになにがあるかさっぱりわからない。院内を行き来する人の数も驚くほど多い。
それだけで気が張る。あるとき、血圧を計ったら、薬を飲んでいるのに上が145もあった。脈拍も少し多めだ。「病院に来ると緊張するから」。私のつぶやきを、看護師さんがやんわり受け止めてくれた。
検査そのものは短時間で終わる。とはいえ、そのための準備がある。昼前の検査だと、前日夜9時以降はモノを食べられない。朝食は抜く。午後の検査なら、昼食は抜く。
ある検査では点滴を受けた。これも初体験だ。かかりつけ医院での採血と同じように、看護師さんが針を挿入するのにてこずっていた。
こうしたあれこれが重なって、検査が終わるころには疲れがたまったような感じになる。
マチへ行ったら、帰りは夏井川の堤防を利用する。それが習慣なのだが、どうもその気になれない。出かけたときと同じ国道~旧道を直帰する。
国道から旧道に折れる交差点に来ると、決まって思い出すものがある。夏井川の堤防を帰るときには、全く頭に浮かばない「事故」だ。
旧道は、国道とは斜めに交差している。その三角コーナーの歩道沿いに、歩行者の親子と自転車のマークのある道路標識が立っている。
あるとき、この標識が支柱の根元から雪国の根曲がりブナみたいにひん曲がっていた=写真。
自転車も利用できる歩道ということになるが、その標識がなぜ曲がったのか。自転車ではなくバイク、あるいは車が突っ込んでポールを押し倒した?
たとえば、こんなふうに(あくまでも空想)。国道と旧道の間には横断歩道がある。当然、歩道と接する部分には、縁石はない。国道から旧道へ入ろうとしてハンドル操作を誤り、横断歩道の端から歩道へ突っ込んで標識に激突した?
しかも、車は軽。というのは、車道との縁石、そばに立つ道路管理者の小さなポール、電柱には、それらしい痕跡が見当たらないからだった。
国道へ出るときだけではない。病院から直帰して旧道へ入るときにも、つい左折しながら、どうしたらこの標識がこんなふうにひん曲がるのかを想像する。
今ははるか昔、新聞記者になってサツ回りを経験したときの、いわば「職業病」のようなものだ。心身ともに疲れていたとしても、「現場」を見ると、なにかネジがまかれたような状態になる。やっぱりいつ見ても不思議な「根曲がり標識」だ。
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