2024年7月8日月曜日

橋名板が消えた

                       
 よくぞ通報してくれた、という思いがある。金属買い取り業者のもとへ、橋名板が持ち込まれた。不審に思った業者が警察に連絡した。警察が動いて小名浜の会社員を窃盗の疑いで逮捕した。

古巣のいわき民報=写真=によると、直接の容疑は、同じいわき市内の山間部、三和町下永井字中根前の橋から橋名板4枚を盗んだというものだ。

 中根前はネットで調べればすぐわかる。そう思っていたが、下永井の住所(字名)欄にはない。

地理院地図には、「中根」はある。でも、メディアは続報でも中根前で通している。人間が住んでいないから、住所欄からははずしてある?

そんなことがあり得るのかどうかはともかく、山里でも集落から離れた山林内の市道、つまりは林道に違いない。

グーグルマップに描かれている道路と川が交差するあたりに狙いを定め、ストリートビューで山道をチェックしているうちに、被害に遭った中根橋に出合った。

 小川町の山中に小玉川をせき止めたダムがある。人工の「こだま湖」で、周囲には落葉樹林が広がる。春はヤマザクラが咲き乱れる。私はこの辺一帯を「いわきの吉野」と勝手に呼んでいる。

ダム湖に沿って三和町下永井へと道路が続いている。通常、市民が利用するのは湖の左岸側だ。下流の小川からいうと、ダム湖の右側のルートになる。

夏井川渓谷に隠居がある。隠居から川前経由で対岸の差塩(三和)へ駆け上がり、小玉川に沿って上永井から下永井へ下ると三差路に出る。

道なりに進めば、山を越えて三和の国道49号に出る。小玉川に沿って細道に入れば、ダム湖が待っている。

このダム湖の手前、東北電力の水力発電所があるあたりで、小玉川が屈曲する。その発電所に最も近いところに架かるのが中根橋だ。今度初めて知った。

橋には「中根橋」「平成4年11月竣工」(上流側)、「小玉川」「なかねはし」(下流側)の4枚の橋名板が設けられている。この4枚がすべてはがしとられたということになる。

 30~50代と、野鳥や野草の観察、山菜やキノコの採集を目当てに、「山学校」を続けた。

市道とはいっても林道のような狭い道を4輪駆動車で走り回った人間には、緑に覆われた山中の道がどんなものかはおおよそ見当がつく。

 軽トラックはともかく、普通乗用車では草がボデーをこすったり、折れた枝が行く手を遮ったりする。

それよりなにより道幅が狭いので、対向車が来たらどちらかが交差できるスペースまで戻らないといけない。

よほどの用事でもなければ通るのを敬遠するような交通環境だ。だからこそ入り込んだか。

私は車にカーナビが付いていても、使いこなせない。3・11以来、放射線量が高いままなので、キノコ採りにも行かなくなった。

とはいえ、人の目につかないところだけでなく、都市部でも橋名板の盗難が相次いでいるらしい。今度の余罪も数十件というから、こちらの想像をはるかに超える。

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