心臓にも耳がある。心臓に由来する血栓の90%は、この心臓の左の耳で形成されるという。
前にも書いたことだが、震災翌年の暮れ、原因のよくわからない貧血症状が出た。2階に上がるだけで息が切れ、めまいがした。
年明け後に胃カメラをのみ、大腸も調べた。抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)の影響で消化器官から出血したのが原因かもしれない、ということだった。
それから12年。薬を飲んでいるのでめまいや動悸はない。落ち着いている。が、データからは貧血気味、つまり出血がみられるという。
定期検査の延長で、2年ぶりに地域の基幹病院で胃カメラをのみ、大腸の内視鏡検査を受けた。
循環器科にもかかった。もともと不整脈と薬からきている症状なので、循環器科の見立てが本筋ではある。
担当医は若い先生に変わっていた。データを見ながら、12年前は「入院」して「輸血」しなければならないほどの「大出血」だったらしい(出血場所は不明)。
そのときは地元の雑誌の編集を引き受けていたので、先生に無理を言って通院に切り替えてもらった。
その「大出血」の再発を防ぐには、抗凝固薬を避けることだ。しかも近年、その代替療法が確立された。左心耳閉鎖術という。
冒頭に書いたように、心臓由来の血栓はおおかた左心耳で形成される。この新しい手術法では、出血だけでなく、その血栓(による脳梗塞)も予防できる。
手術の内容は、足の付け根の静脈からカテーテルを入れ、心房中隔を突き通して左心耳に、閉鎖に必要な「器具」を留置するというものだ。
その手術が7月17日入院~同22日退院の、5泊6日の予定で18日に行われた。無事、手術が終わり、月曜日の昼前、5日ぶりにわが家へ戻った。
戻ったらすぐやることをメモしておいた。スマホを充電する。ノートパソコンに届いた迷惑メールを削除する。
土曜日(7月20日)は、いわきの海水浴場で海開きが行われた。この日の早朝、病室の窓から朝日をながめ、梅雨が明けたことを確信したが、東北南部は、発表には至らなかった。
それから連日、酷暑が続く。退院してタクシーに乗り込むとき、早くも外気の暑さにへきえきした。
わが家に着くと、さらに暑い。しかし、ここ=写真=で日常を再開しないことには前へ進めない。庭からはミンミンゼミの鳴き声が響く。
このなかですぐ「仕事」にとりかかる。こちらの入院・手術で手つかずになっていた、20日配布予定の回覧資料がある。それを振り分け、袋に詰めて、3日遅れだが23日早朝、役員さんと担当の隣組に届けた。
すでに朝日がギラギラしていた。「散歩はいいですよ」「重いものは持たないで」。ドクターの言葉を目安に歩く。息も切れず、痛みもなかった。
今回の手術は予防的なもので、症状が悪化したから手術したわけではない。入院6日間の感慨にふけっているヒマもない。
とはいえ、この暑さはやはりこたえる。6時前の「仕事」だったので、汗ばむ程度ですんだ。
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