2024年7月26日金曜日

入院中は本だけに

                     
 5泊6日の入院中、どうやって時間をつぶすか、あらかじめ考えた。ベッドのわきにはテレビが備え付けられてある。テレビカードを買えば見られる。でも、テレビは見ないと決めた。

 新聞は、カミサンが家から持ってくれば読める。実際、2日目に持ってきたが、そのまま持ち帰ってもらった。

新聞も読まない。それをあらかじめ伝えておけばよかったのだが、準備に追われて忘れてしまった。

 本だけは2冊持ち込んだ。高萩精玄『福島人物の歴史第10巻 白井遠平』(歴史春秋社、1983年)と、『「いわき宇宙塾」講演記録集7 市制施行30周年 なぜ、いわき市は誕生したか』(いわき市、1998年)=写真。

先日、いわき市教育文化事業団の研究紀要第21号に収められた渡辺芳一さんの論考「草野天平『私のふるさと』をめぐって――空中写真をもとにした草野杏平氏への聞き書き」を読んだ。

天平は詩人草野心平の弟で、杏平氏はその長男。天平も心平同様、詩を書いた。2人の実祖父は衆議院議員を経験した実業家の白井遠平。

詩人を知ろうと思えば、ふるさとのいわき市小川町上小川、そして遠平を素通りするわけにはいかない。

渡辺論考の延長線上で、常磐線開通と炭鉱開発に尽力した遠平を読む。さらに、炭鉱と漁業から工業のマチへとかじを切ったいわき地方の近代の流れをざっくりつかむ。

直接言及しているわけではないが、それによって心平・天平のふるさとも変化を余儀なくされたことがわかる。いずれも再読、再々読だ。この2冊で十分だった。

 スマホを持ち込んだので、だれかに連絡しようと思えばできたが、それもよした。入院直前に充電し、時計代わりに使うだけなら、退院時にもバッテリーは残っているはず――。最後は充電のサインがついたが、電源切れになることはなかった。

実質5日間は新聞・テレビ・ネットメディアから離れていたことになる。が、それで何の不自由もなかった。

ただ一つ、カミサンからの口コミで土曜日(7月20日)、東北地方の梅雨が明けたと錯覚したが、それは7月18日の東海、関東甲信、あるいは19日の四国のことだったか。

 さて、月曜日(7月22日)の昼前に退院して以来、以前のメディア環境に身を置いている。

 朝起きると新聞を取り込み、折り込みチラシの枚数をチェックする。テレビをつける。とりわけ、朝ドラ「虎に翼」は見逃さない。

 ところが、18、19、20日(週の総集編)、22日と見ていないので、流れがいま一つつかめなかった。

 「虎に翼」は、カミサンも時間がくるとテレビの前に陣取る。行政がらみのニュースが流れるたびに「男ばっかり」と文句を言うくらいだから、今に通じるドラマとして見ているようだ。

かくいう私も、日本国憲法第14条がやっと頭に入るようになった。これが「虎に翼」の根底を流れている思想だろう。

「新潟編」でも第14条が頭をよぎる。すごいドラマだと、実は内心舌を巻いているところだ。

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