夏井川渓谷の隠居で土いじりをするために服を着替え、手袋をはめる。と、袖の中からパラパラこぼれ落ちるものがある。手袋の中でモゴモゴやっているものもいる。カメムシだ。
カメムシは寒さに弱い。気温が下がるとすぐ何かにもぐりこむ。このパラパラ・モゴモゴを、今季は初めて11月3日の文化の日(日曜日)に経験した。
夏が長かったためか、いつもよりは少し遅いパラパラ・モゴモゴだった。これからはそれが春まで何度も繰り返される。
近所の家では、カメムシ対策として網戸やガラス戸に忌避剤を噴霧し、すきまをテープでふさぐ。
わが隠居でも3年前の正月、後輩からクスノキの薪をもらって、茶の間などに置いた。防虫剤の樟脳(しょうのう)はクスノキが主成分だ。
クスノキ本体を置けば、強烈な香りに負けてカメムシが逃げていくのではないか。そんな期待を抱いたのだが……、甘かった。
隠居は冬、いつもの「カメムシの宿」になった。雨戸のすき間、座布団と座布団の間、畳んだゴザのすき間と、至る所にカメムシがもぐりこんだ。
そこへ日曜日ごとに人間が現れ、石油ストーブを焚く。部屋が暖まると、いつのまにか1匹、また1匹とカメムシが現れる。独特の臭気に支配されることもある。
暖房が効いて畳にポトリ、またポトリは、今年(2024年)すでに10月後半に始まった。
長居するときはほうきでさっと外へ掃き出すが、ちょっといてすぐ街へ下りるときにはそのままにしておく。
このパラパラ・モゴモゴと関連するわけではない。が、妙に一致する事象がある。同じ日、カミサンが隠居の庭の草むしりをしていて、ウツギの切り株にキノコが生えているのを見つけた。スギタケの仲間だった=写真(2021年撮影)。
3年前は10月31日に、やはりパラパラ・モゴモゴとスギタケの仲間の発生を確認した。今年も同時だった。
同じモエギタケ科にヌメリスギタケモドキがある。二十数年前、立ち枯れの大木に大発生しているのに出合った。このとき初めてコウモリ傘を開いて逆さにし、柄の長い小鎌でこそげ落とした。
これは食菌としての、ヌメリスギタケモドキだからこその採り方だ。が、隠居の庭のそれがヌメリスギタケモドキかどうかは判断がつかない。
で、3年前も採取はしたものの、食べるところまではいかなかった。今回も採取~いしづきカット~塩水につけて虫だし・ごみ落としまではしたが、結局、食べるまでにはいかなかった。
同じ仲間のツチスギタケやスギタケモドキは中毒するという。よくわからないものは食べない、という「鉄則」に従った。
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