街からの帰り、夏井川の堤防沿いにあるネギ畑に目をやる。例年、師走に入ると収穫が始まる。まだ11月だが、気持ちのうえではカウントダウンに入った。
平地のネギは「いわきネギ」、隠居のある夏井川渓谷のネギは「三春ネギ」。三春ネギは田村地方から種と苗が伝わってきたらしい。どちらにしてもこれからが旬である。
紅葉時期になると、小野町のNさんが日曜日、JR磐越東線の江田駅近くに直売所を開く。
10月半ばの日曜日朝、県道沿いの空き地でNさんがパイプの支柱を組み立てていた。1年ぶりの再会である。「長芋は、今年はよくない、曲がりネギは大丈夫」。そんな話になった。
直売所のオープンは例年、10月末か11月初めだ。今年(2024年)は11月3日に違いない。
そう見当をつけて9時半過ぎに江田駅前を通過した。店開きをしたばかりらしい。先客と長芋やゴボウの話をしていた。
曲がりネギがひとかたまり、シーツの上にあった。それをまとめて買う。シーツは隠居からの帰りに返した。
上流の錦展望台でも、土地の管理者に勧められて直売所を開くようになった。こちらは奥さんが担当している。
紅葉見物のマイカーが次々にやって来て、露天の直売所をのぞく=写真。対岸の紅葉はいまひとつだが、地場野菜の直売は好評のようだ。
渓谷では、ヤマザクラやツツジなどがまず紅葉する。それが対岸の斜面を彩る。今年はその紅葉が遅れ気味だ。夏から秋の高温が影響しているのかもしれない
マイカー組のお目当ては県道沿いの谷間にあるカエデだろう。すでに紅葉したカエデもあるが、大半はまだあおい。もみじ葉が燃え上がるのは11月中旬以降か。
この時期の楽しみは、紅葉よりも曲がりネギだ。4日朝、今季初めてジャガイモと曲がりネギの味噌汁にしてもらう。
ジャガイモと曲がりネギのやわらかさが混じり合い、ネギの香りと甘さが口内に広がる。それだけではない、少年時代の味の記憶も重なって、舌が喜ぶ。
ネギジャガの味噌汁は毎朝口にしてもあきない。曲がりネギは加熱するとやわらかくなる。このやわらかさに魅かれるのだ。
江田駅前ではNさんの直売所のほかに、テント張りの食べ物屋が出る。ここも3日にオープンした。
以前は山菜やキノコの塩漬けを並べた地元のおばちゃんたちの露地売りもあったが、今はどうだろう。震災以後、記憶があいまいだ。
隠居の庭では、三春ネギのそばで辛み大根が群生している。大きく葉を広げたものもある。三春ネギの邪魔になるのを引っこ抜くと、まだ細かった。が、おろすとやはり辛い。
初冬の楽しみはネギジャガの味噌汁と辛い大根おろし、次にカエデの紅葉。それが終わると、渓谷の森は葉を落として冬の眠りに入る。
※おことわり=予定が立て込んでいるため、何日かブログを休みます。
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