朝のうちは雨。予報では、昼にはやむというわけで、日曜日(11月17日)はいつもより遅れて夏井川渓谷の隠居へ出かけた。
隠居へは11時前に着いた。紅葉が見ごろになっていた=写真。いわき観光まちづくりビューローの同日現在の情報も、カエデも含めて見ごろであることを伝えていた。人出も今季一番だった。
谷間のカエデがだいぶ色づいてきた。アマチュアカメラマン、といっても今はスマホだ、スマホで道端のカエデを撮る人が増えつつある。
いわき市内の代表的な紅葉スポットは、やはり夏井川渓谷だろう。平市街からは車で30分、中通りからもわりと簡単にたどり着ける。
福島県内のテレビ局は10月に入ると、「紅葉情報」を流す。いわきの場合は夏井川渓谷が紹介される。
メディアが伝えるのは、葉のマークからして「カエデ紅葉情報」である。夏井川渓谷のカエデは、10月はまだあおい。
ところがカエデとは別に、V字谷の森は尾根から紅・黄・茶と染まり、マツやモミの常緑と混じり合って錦繡に彩られる。それはそれで美しい。
つまり、紅葉には非カエデの紅葉と、カエデそのものの紅葉の二つがある。そう考えた方がわかりやすい。
紅葉は、ソメイヨシノを見てもわかるようにヤマザクラ類が早い。アカヤシオなどのツツジ類もやがて赤く染まる。
夏井川渓谷ではまず、非カエデの紅葉が楽しめる。観光まちづくりビューローの11月10日現在の情報では、アカヤシオの紅葉は11月20日前後が見ごろとあった。
単なる紅葉情報ではない。非カエデの紅葉について伝えている。私の個人的な見立てと全く変わらない。
先日は、NHK福島放送局の気象予報士が夏井川渓谷を訪れ、錦展望台で紅葉を観察した。
その様子が夕方のローカル番組のなかで紹介された。紅葉にはツツジなどの紅葉とカエデの紅葉があることを伝えていた。
ここまで説明すれば、紅葉はカエデだけではないことを視聴者も理解できるはずだ。という意味では、気象予報士が現場を踏むことで、情報の精度が上がり、紅葉の解説も深まる。
夏井川渓谷のカエデは谷間の県道沿いに多い。非カエデとカエデの関係を端的に伝える歌碑が籠場の滝のそばに立つ。作者は歌人・随筆家大町桂月(1869~1925年)。
「散り果てゝ枯木ばかりと思ひしを日入りて見ゆる谷のもみぢ葉」
この歌のように、カエデは、落葉樹の中では紅葉が最も遅い。カエデが燃えあがるころには、アカヤシオなどのほかの紅葉は散り果てて初冬の風景に変わっている。
気象予報士であれ、日曜日だけの定来者であれ、現場が答えを用意して待っている。現場から学ぶことで違いがわかる、というのは正しい。
某紙によると、夏井川渓谷は「鮮やかに色づいたモミジやブナ」が広がっているそうだが、ブナはどこにあるのか。この目でブナを見たいと思っている人間には、奇異な紅葉情報だった。
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