1月下旬の日曜日、昼。東の空に旅客機のものらしい飛行機雲が2本、北へ進みながら長く尾を引いていた=写真。
下の飛行機雲がなぜか途中で屈曲している。そこだけ横からの気流が強いようだ。「天空の川」が可視化されたように感じて、パチリとやった。
飛行機雲が同じ方向に2本。航空路としては高度も違えば、距離も離れているのだろう。とはいえ、地上からはかなり接近しているように見えた。
空に何本も飛行機雲が残るときがある。しかし、青いキャンバスの白い線は、交差したり、離れていたりして、平行するようなことはまずない。平行もあり得るのかどうか。写真を撮ったあと、疑問がわいてきた。
平市街の西から北に阿武隈の山々が連なる。その中央、水石山の頂上に「空の灯台」がある。国交省の洋上航空路監視レーダーだ。
これとは別に、阿武隈高地の主峰・大滝根山(1192メートル)の頂上に航空自衛隊のレーダー基地がある。
昭和30(1955)年、大滝根山頂に米軍のレーダー基地ができる。翌年には航空自衛隊の部隊が移動し、3年後の同34年、米軍から航空自衛隊に施設が移管された。
「わが国に侵入する弾道ミサイルや航空機に対して、24時間態勢で警戒監視と戦闘機の要撃管制を実施している」と基地のホームページにある。
北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)も当然、監視警戒の対象になっているということだろう。
防衛省と国交省の違いはあるが、福島の阿武隈の山には空の監視レーダーがふたつある、
東の空に伸びた2本の飛行機雲の本体は、いわき沖、つまり太平洋上を北へ向かっていた旅客機だろう、と想像したところで思考は止まり、そのまま忘れていた。
その後、アメリカで1月29日夜、首都ワシントン近郊の空港付近で旅客機と米軍ヘリが衝突した。
さらに同31日、ニューヨークとワシントンの間にあるフィラデルフィアの北東部で小型機が墜落した。
なんの関連性もないが、多数の死者が出た事故のニュースに触れて、2本の飛行機雲を思い出した。
ほかにも、大きな事故が続く。ロサンゼルスの山火事は3週間余り燃え続け、やっと鎮圧状態になった。日本では埼玉県で道路陥没事故が起きた。転落したトラックの運転手はいまだに救出されずにいる。
文明が発達すればするほど、災害や事故の規模は大きくなる。人間のミスが、それにかかわることもある――。
上空では問題がなくても、地上からは2本の飛行機雲に不安がよぎった。よけいな心配だったかもしれない。が、事故の要因はどこにでも転がっている。あらためてそのことを思った。
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