夏井川渓谷では「籠場の滝」が一番の名勝といってもよい。わが隠居の手前にある。
2月16日はいつもより水量があった。水源地帯の阿武隈高地で降った雪が融けたせいかもしれない。滝の上流も流れが岩をかんで白く泡立っていた。春先には珍しい光景だ。
1週間後の23日は、いつもの穏やかな流れに戻っていた。籠場の滝に近づくと、対岸の岩場が白く粉を吹いたようになっている。しぶき氷だ=写真。
今はもう2月の下旬。春の足音が聞こえ始めたというのに、ここまで氷が成長するのは初めてだ。「最強・最長の寒波」が来たあとに、また寒波がやって来たからだろう。
気象台のデータを確かめたら、いわきの内陸・山田町では19日と21日の最低気温が今季最も低い氷点下5.7度だった。
近年の暖冬傾向からいえば、しぶき氷はまったく想定外の現象だ。この10年ほどはしぶき氷ができても、小さくて、面積も狭かった。
しぶき氷が分厚く、大きく張った年がある。拙ブログで確かめると、震災の年がそうだった。2011年1月15日にそのことを書いている。一部修正して再掲する。
――夏井川溪谷の隠居に小さな畑がある。リサイクルを兼ねて、週に1回、そこへ生ごみを埋めに行く。
1月は3日のあと、14日午後に出かけた。とっくに「週一」のサイクルを越えている。生ごみ埋めのついでに、隠居の水道管をチェックしなくてはならない。
隠居の手前、籠場の滝をちらりと見たら、しぶき氷がかなり成長していた。例年だと、岩盤はうっすら白くなる程度だ。
が、2011年は白いマントを着るのが早い。氷柱(つらら)があちこちに発達している。氷が厚く、広く覆っている。
あとでパソコンに取り込んだ写真を見たら、走査型電子顕微鏡で何かを見ているような印象を受けた。
籠場の滝のしぶき氷に不安が募る。前の年は2月上旬に不安が的中した。台所の温水器が水を噴いていて、床が水浸しになっていたのだ。そのシーンが頭をよぎる。
隠居に着くとすぐ、水道菅をチェックした。台所、OK。風呂場、OK。洗面台、ン? 足元が水で濡れている。「凍結・破損」が一発でわかった。
対処法は決まっている。春になるまで、井戸水をポンプアップするモーターの電源を切っておく。
前の年がそうだった。隠居へ通い始めて15年、数えれば4回は「凍結・破損」に見舞われ、そのつど春がくるまで水持参で隠居へ通った――。
それからさらに14年がたった今年、2025年。隠居へ着くと、やはり同じように台所、洗面台、風呂場をチェックした。
一昨年(2023年)秋、台所の温水器を交換するとき、給水管に凍結予防の電熱線を巻いた。それで温水器は無事、本体の水道管も無事だった。
風呂場は厳冬でも問題はない。洗面台は水道の元栓を締めて使えないようにしてあるので、これも心配はない。とはいえ、いちおう変化がないことを確かめずにはいられなかった。
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