車で住宅街の路地を巡り、回覧資料を配っていたときのこと――。どこかの飼い猫が腹ばいになって目の前の道路を横切った。
なぜ匍匐(ほふく)前進を? 停車して様子を見ていると、いきなり道端の家の庭にジャンプした。
庭には小さな帯状の菜園がある。そこにヒヨドリがいた。間一髪、ヒヨドリは猫に捕まることなく飛び去った。
今はわが家の縁側をすみかのようにしている、トラの「さくら猫」(不妊・去勢手術が行われ、耳にV字の切れ込みがある猫)がいる。
ときどきネズミや鳥を捕まえたあと、なぜか玄関の前に持って来てそのまま放置する。カミサンが玄関を開けると「キャーッ」となるのでわかる。
その猫の狩りも同じだろう。狩りに失敗した猫を見ながら、わが家のさくら猫のことを思い出していた。
ふだんはカミサンがエサをやっている。しかし、猫の野性は手術を受けても変わらない。
鳥が視野に入ると匍匐前進をして近づき、いきなり跳びかかる。そんな本能がはたらくに違いない。
縁側の先に物置を兼ねた小スペースがある。波形のポリカーボネートで囲い、庇(ひさし)も張り出してあるので、雨の心配はない。
そこに不要になったスチール製の引き出しを置き、小物入れにしている。空きスペースにはスコップその他の園芸用具や竹ぼうきなどが雑多に置かれている。
縁側にも店じまいでいらなくなったテーブル、そしてその上には段ボール箱や「えじこ」がのっかっている。
えじこは、人間の乳幼児を座らせておくわら製の保育用具だ。ウィキペディアによると、農作業で忙しいとき、屋内または作業場の近くにこれを置いて乳幼児を入れた。
どこからかこの用具が出てきたのをカミサンが引き取り、猫を飼っていたときはそのベッドにしていた。
カミサンが最近、縁側に積み上げたモノを整理し、またえじこを一番上に置いて猫のベッドにした
ある日――。NHKの「あさイチ」で絵本の特集があった。猫の絵本が次から次に紹介された。
それもあって、わが家に居ついたさくら猫のことを思い出した。茶の間からガラス戸越しにのぞく。と、さくら猫が丸まって朝寝をしていた=写真。
カミサンはこのさくら猫を「ゴン」と呼んでいる。ゴンがわが家の庭に現れるようになってから、ざっと3年がたつだろうか。最初は野鳥のための残飯が目当てだったらしい。
そのうち、ゴンにもエサをやり、縁側に段ボール箱を置いて、中に古いシーツを敷いたら、いつの間にかそこで一夜を明かすようになった。といっても、毎夜ではない。
朝はいないときがある。厳寒の今は日中、こたつではなく、風を遮る縁側のえじこで丸くなっている。
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