きのう(2月12日)の続き――。第12回いわき昔野菜フェスティバル(同野菜保存会主催)で行われたワークショップの一つ、「ペットボトルプランターで昔野菜を育ててみよう!」はユニークだった=写真。
一般社団法人シーズオブライフのディレクター坂田奈菜子さんを講師に、参加者は持参した空きペットボトル(2リットル以下)の上部を切り取り、事務局が用意した鉢底石と培養土を利用して在来作物(昔野菜)の種をまき、細かく砕いた落ち葉をかぶせて「小さな地球」をつくった。
日本人は地球2.8個分の資源を使って暮らしている、野菜の種の90%は外国でつくられている。
世界の66%の耕作地はわずか9種類のために使われている、世界の耕作地の20%は農薬や土壌汚染、温室効果ガスなどで農業に適さなくなっている……。
座学で日本の、世界の農業の現実を学び、さらには「道端のタンポポはホウレンソウより栄養価が高い」といった話を聞いた。
このあと、地球の環境と多様性を学ぶには「自分で種をまくことが第一歩」ということで、プランターづくりに入った。
つくり方は簡単だ。ペットボトルの底が見えなくなる程度に鉢底石を敷き、培養土を加える。この際、トントンと土を詰めるようなことはしない。フワッとした状態の土に種をまく。
種は昔野菜2~3種類で、木の実が落下して発芽するイメージで種を置き、さらにその上に落ち葉のふとんをかけ、霧吹きで3回ほど水を吹きかけた。
あとは家に持ち帰り、植物の身になって置く場所を決めること――というアドバイスを受けてワークショップが終了した。
ペットボトルプランターは見えない土の中を可視化する。なかでも土壌中の微生物の働きが大きいという。
複数の種類を入れるのは、それぞれ育ちが違うためで、早く根を張る種は土をよくする。相性が悪いともう1種類を加える。
すると、土の中でコミュニケーションをとり、さらには根っこ同士が不足分を補い合うのだという。これには微生物、つまりは菌類も関係している。
引き続き行われた座談会では、①野菜を食べる②野菜を育てる③在来種野菜④食の豊かさ――について話し合った。
江頭宏昌山形大教授、坂田さん、料理教室を担当したいわきのイタリアンレストラン「テラッツァ」シェフ星真帆さん、そして昔野菜保存会から新妻ゆき子さんと私が加わった。
自己紹介の中で、坂田さんのいう「根っこ同士のつながり」は「菌根菌ネットワーク」と同じではないか、という話をすると、坂田さんはうなずいた。「小さな地球」は、つまりは「小さな森」のことである。ここがポイントなのだろう。
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