2026年9月30日水曜日

熱帯原産の毒キノコが定着?

                                               
   秋の長雨は、キノコにとっては目覚まし時計のようなものだろう。食べられるキノコ、毒ではないが食べてもまずいキノコ(不食菌)、そして毒キノコも同時に発生する。

9月25日付のいわき民報に、いわき市内の公園で毒キノコが多発している、市が食べないよう注意を喚起している、という記事が載った=写真。

毒キノコは熱帯原産のオオシロカラカサタケである。このキノコの存在を知ったのは6年前。やはり、いわき民報を介してだった。

それを取り上げたブログ(2020年9月24日付「毒キノコが南からやって来た」)がある。注意を呼びかけたのは、いわきキノコ同好会の会長だった故冨田武子さんだ。

冨田さんはいわき市内の中学校美術教諭を定年で退職したあと、画家として制作活動に励み、ボタニカルアートなどを手がけた。

菌類にも造詣が深く、いわきキノコ同好会発足時から会長を務めた。私も当初からの会員で、冨田さんから多くのことを学んだ。

オオシロカラカサタケについても、冨田さんから教えられた。いわき市内ではこれまで、ハウス内での発生は確認されていたが、野外では未確認だった。

それが、泉町の住宅の庭やナス畑でも発生が確認された。中毒例が非常に多いキノコだという。

地球温暖化の影響で、今まで姿を見せなかった南方系のいきものが、いわきの海で、山野で確認されるようになった。オオシロカラカサタケもそのひとつだ。

それからざっと2カ月後のブログでも触れている。冨田さんは画家として月に1回、いわき民報に「いのちを描く――ボタニカルアートの世界」と題して、絵と文章を寄稿していた。

いわき市泉町のアートスペース泉で開かれた冨田さんの「ボタニカルアート展」を見た。その観覧記である。

いわき民報に載った植物やキノコは印刷の制約もあってモノクロだが、原画は鮮やかなカラーである。

植物の花やキノコが精密なタッチで描かれていた。同時期に咲く野の花とキノコを組み合わせた作品には、冨田さんの自然環境への思いがこもっていた。

なかに、オオシロカラカサタケの作品があった。「キノコでは、それが一番新しい作品」ということだった。

いわきキノコ同好会は会員の高齢化と退会が続いていたことから、2024年師走の総会で、1年後の総会を最後に解散する、会報も第30号を発行して終わりにすることを決めた。

解散を決めた総会から季節がひとつ巡った2025年4月、冨田さんが亡くなった。第30号は会長追悼号に替わった。

いわきキノコ同好会は、菌類の調査・研究だけでなく、毒キノコによる食中毒の予防にも力を入れた。

今度の市の発表を知って、市民団体が解散したことによる空白、いや穴の大きさを感じている。

冨田さんがいたら、もっと詳しく、もっと具体的に注意を喚起したのではないだろうか。

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