2015年12月16日水曜日

潜水ガモ

 街へ行くときか帰り、どちらかに夏井川の堤防を利用する。一日に一回は夏井川を見ないと落ち着かない。「なぜ夏井川?」と聞かれれば、「ふるさとの山(大滝根山)とつながっているから」とこたえるほかない。それが根っこにあるとしても、ふだんは季節の移り変わりを感じたいからだ。
 春はヤナギの芽吹きとツバメ、夏はオオヨシキリ、秋はヒガンバナとサケ、冬はハクチョウとカモたち。堤防を通るだけで「今年初めてのツバメ(オオヨシキリ、ヒガンバナ、ハクチョウ……)」に出合える。特別に取材をする必要がない。現役のころは、通勤の行き帰りに夏井川を眺めてコラムのネタにしたものだ。今もこうしてブログのネタにしている。

 いつもは夏井川の左岸(平・鎌田~塩~中神谷)を通る。右岸(平・北白土~山崎)を通るときもある。鎌田で鋭く、山崎ではゆっくり蛇行する。蛇行部は淵になっているので、堤防は高い。先日、右岸を通ったらはるか下の水面に潜水ガモがいた。マガモもいた。

 潜水ガモはなんだろう。いつも持ち歩いているデジカメで撮影し、パソコンに取り込み、拡大して『いわき鳥類目録2015』と照らし合わせると、冬鳥のホシハジロの雄だった。そうとわかれば、次は望遠レンズ付きのデジカメで撮ろう、という気になる。

 きのう(12月15日)午後、いわき総合図書館へ本を返しに行くのに、遠回りをした。右岸の堤防から見ると、ホシハジロの雄がいた=写真上。拡大してもこの程度だが、赤い頭、黒い胸、灰色の胴はわかるだろう。

 そうだ、あのときも――。10日前、友人の母上の葬儀があって、小名浜南富岡の藤原川沿いの墓地まで「野辺送り」について行った。堤防に車を止めた。なんとはなしに川面を見ると、水鳥が潜水しながら泳いでいた。写真を撮ると、かろうじてアカエリカイツブリらしいとわかった=写真下。もう1羽、潜水ガモと思っていたのはウミウだった。
 冬鳥がいわきの水辺や山野で普通に見られるようになった。もう師走の半ばだ。ハクチョウは、日中はどこかの田んぼで草をついばみ、夕方になると夏井川に戻ってくる。上流の平窪では、赤井の田んぼあたりで。下流の塩のハクチョウはどこかの田んぼで。

 朝はハクチョウが鳴きながらわが家の上空を東へ向かい、夕方は逆に東から戻ってくる。いわきの平地ではこの季節、ハクチョウが朝晩、空を行き交っている。それだけでも少し豊かな気分になる。

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