2015年12月19日土曜日

白鳥とダンプカー

 おととい(12月17日)の夕方、夏井川の堤防を利用して街から帰った。冬の間、ハクチョウが羽を休める平・塩地内で、砂利採取が再開されている。まだ作業が行われているところへ、周辺の枯れ田で過ごしていたハクチョウたちが帰ってきた。
 ずっとそこにある重機はともかく、岸辺までやってくるダンプカーには慣れないらしい。一斉に首をあげてダンプの動きを注視していた=写真。少し下流に飛び去るグループもいた。

 水曜日(12月16日)にこんなことを書いたばかりだ。朝はハクチョウが鳴きながらわが家の上空を東へ向かい、夕方は逆に東から戻ってくる。いわきの平地ではこの季節、ハクチョウが朝晩、空を行き交っている。――神谷(かべや)の空を飛び交うハクチョウたちは、夕方には全部、あるいは一部が塩の越冬地に戻ってくるのだろう。着水の瞬間もいいシャッターチャンスになる。

 ま、とりあえず、重機・ダンプ・ハクチョウと、変わった組み合わせの写真が撮れただけでもいいか。少し満足して帰宅したあと、パソコンでツイッター情報をチェックすると、沖縄県・今帰仁(なきじん)にコウノトリが1羽飛来した、と沖縄タイムスがつぶやいていた。琉球新報も少し遅れてツイートした。

 千葉県野田市で放鳥されたコウノトリでは? しかし、写真を拡大すると発信器は装着されていない。ついでに、野田市のホームページを開いて、幼鳥がどこにいるか確かめる。と、なになに、1羽が死亡した?

 野田市から7月23日、3羽の幼鳥がGPS(衛星利用測位システム)の発信器付きで放たれた。うち1羽、メスの「未来(みき)ちゃん」が9月22日、いわきで確認・撮影された。写真がフェイスブックにアップされた。今、「未来ちゃん」は岡山県にいる。オスの「翔クン」は高知県に滞留中だ。

 もう1羽、メスの「愛ちゃん」はあまり移動しなかったが、12月5日、茨城県内で送電鉄塔の下で死んで発見された。送電線にぶつかり、転落死したのではないかという。沖縄のコウノトリはやはり大陸から迷い込んだものだろう。
 
 晩酌を始めると、カミサンが食べ物をおいたあと、「きょうは何の日?」と聞く。「ん?」。チラッとカレンダーを見たら、「いやっ、はっはー」と口から空気が抜けていった。ひっくり返せば27歳の誕生日だった。それから間もなく、東京のカミサンの友人から電話がかかってきた。小2の孫も電話をよこした。頭のなかを大型の白い鳥が飛び交っていたので、全く気づかなかった。
 
 そうとはいえないので黙ってカミサンの話を聞いたり、テレビを見たりしていた。夜更けになると、テレビが「コザ騒動」を取り上げていた。45年前の師走、友人と二人で3週間、沖縄の本島をさまよった。きょう19日の夕方、コザ市(現沖縄市)から那覇市に移動した。真夜中、日付が替わったばかりの20日未明に騒動がおきた。
 
 いわきにJターンする3カ月前のことだった。定職もなく、カミサンと出会ってもいなかった。コザ騒動は今も、わが沖縄体験の原点だ。

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