夏井川渓谷のわが隠居の菜園にある「三春ネギ」は、本当は旬なのだが種採り用に残しておく。
おととし(2013年)の師走、隠居の庭が全面除染された。それを見越して秋の種まきは中止した。で、1年後の2014年秋、前の年の種をまいたら発芽した。発芽率はよかったが、隠居へ出かける回数が減った分、ネキリムシが生き延びた。根元をチョキチョキやられて、今は5月に定植したときの10分の1にまで減った。師走に入ってもネキリムシが潜んでいたのには驚いた。
師走のネキリムシを1匹ブチッとやった日、我慢できなくなって三春ネギを2本抜いた。翌日、カミサンがネギとジャガイモのみそ汁にした=写真。これだ、この味だ! 甘くて、やわらかい。白根はまるまる2年半、口にしていなかったが、味蕾(みらい)が反応した。ひとまず、これで満足。あとは我慢して種採り用に越冬させる。
三春ネギと同じ中通り産の曲がりネギが、今では師走に入るといわきのスーパー(本社は郡山市)でも買える。「阿久津曲がりネギ」だ。これを初めて口にしたのは7年前だった。白根だけでなく緑の葉も甘く、やわらかい。
どんな品種でも、まずはジャガイモとネギのみそ汁にする。阿久津曲がりネギの入ったお椀を口に持ってくると香りが立った。三春ネギよりも味は濃厚で、とろみがある。葉に蜜(ぬめり)が詰まっているのが特徴、といってもいいのではないか。
この時期は、スーパーへ行くと必ずネギをチェックする。11月24日。マルトへ行ったら九条ネギがあった。いわき海星高校の実習船「福島丸」のラベルが張られたまぐろ加工品もあった。両方を買ってネギトロにした。ネギの緑色と加工品のピンク色とがマッチしていた。翌日、みそ汁に散らしたが、ただのネギの味だった。
11月29日。田村郡小野町まで曲がりネギを買いに行ったら、郡山市阿久津町の南にある「田母神(たもがみ)」産の曲がりネギがあった。焼いて食べると、甘く、やわらかく、とろみがあった。これはもう阿久津曲がりネギのきょうだいだ。12月6日。内郷からの帰り道、師走に入ったからあるはずとみてスーパーへ寄った。案の定、阿久津曲がりネギが並んでいた。三束買った。
好みのネギかどうかは、豆腐ではなく、ジャガイモとネギのみそ汁にして判断する。自分の脳内に刷り込まれた味の記憶と比べて同じだったら、満足感が得られる。みそ汁一杯で幸せな気分になれるのだから、安いものだ。
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