銀行へ行ったら、はがき大のチラシが置いてあった=写真。「電話がきたら、これを見て!!」。「オレオレ詐欺」の対処法が表と裏の両面に書いてある。受話器のそばに張り付けておけば効果がありますよ、ということだろう。
3つの犯行タイプ①「電話番号が変わった」②「オレだ・息子だ・孫だ」③「警察・銀行・裁判所・弁護士です」――を紹介し、その対応の仕方を記す。②には「オレって、誰だ」「息子ならここにいる」「金はない」「ちょっと待って録音すっから」「あんたオレオレ詐欺か」といってやる。
ある日、テレビニュースを見ていたカミサンが「『オレオレ詐欺』って女はいないんだね」といった。確かに「ワタシワタシ詐欺」は聞かない。そうか、これは息子と母親との関係、「母性」を逆手にとった詐欺なんだ、「息子」だから成り立つ犯罪なんだ、と了解した。
かつての「息子」の経験――。小学生くらいまでは母親と一緒に風呂に入って、体を洗ってもらった。それが、いつからか一人で入るようになると、親とはあまり口をきかなくなった。用事があれば、単語を二つつなげるだけ。「腹、減った」「○○円、ちょうだい」「○時に起こして」……。親元を離れてからは電話をかけるわけでもなく、年に2回、帰省するだけになった。
同居していても、親とはあまり話さない、という息子が多いだろう。それでも、母親は腹を痛めた子どもがかわいい。心配でならない。そこをついてくるのではないか。息子ではない「息子」の電話を、「母性」で聞いてしまうのではないか。
逆に、娘とは同居していればおしゃべり、離れていれば長電話――母と娘は向き合っているから「ワタシワタシ詐欺」は成り立たない、という“仮説”を、先日、確かめた。クリスマスの晩に、疑似孫とその両親がやって来た。母親に聞くと、自分の母親とは絶えず電話で話しているという。「娘」にばけた他人がつけこむスキはない。
さて、そうなると、「オレオレ詐欺」の究極の撃退法は、金を要求するような「バカ息子」には「そんな親不孝な人間は息子でもなんでもねぇ」といって、ガチャンと受話器を置くことだ。いや、それよりもふだんから母親に電話をしたり、同居していればおしゃべりをしたりすること、ではないか。これは息子が努力すればできる親孝行でもある。
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